WBC準決勝敗退「運が良かった」…侍にふさわしい組織構築を
「小久保ジャパン戦いの軌跡【4】」
なぜ、17年WBCが小久保監督に託されたのか。答えられる人は少ない。代表の常設化に伴い、若い監督で長期的視野に立って…というところだろうか。
では例えば、サッカーで4年後のW杯を監督経験のない指揮官に全面的に預けるということがあるのか。仮にあったとして、その途中経過を責任者や統括する組織が評価し、必要に応じて監督を替えることになるだろう。
現在の野球界で、そうした機関は存在しない。小久保監督を任命した当時の責任者もNPBを離れている。後を引き継ぐ人間が、風景か人物かも分からないものが塗りたくられたキャンバスを渡されるだけでは、いい絵が描けるはずもない。
「今回はすべてが一番いい方向に転がったにすぎない。運が良かった。ただ代表としての組織がこのままではいけない」と侍ジャパン関係者は話す。
一昨年のプレミア12は準決勝敗退で批判され、今回のWBCは準決勝敗退で健闘とされた。その違いは大谷辞退などによる期待値の低さなどが大きく、まさに「運が良かった」のが実際のところだ。
そしてグラウンド外の責任も小久保監督が負い続ける形となっていた。結果、過去の強化試合などでは選手選考が他の首脳陣へ知らされず、球団関係者が「あり得ない話」と指摘したことも…。
今大会も選手選出やチーム構想が監督と一部の人間だけで決められ「もう少し周りを信用してほしい」という声が聞かれた。指揮官がすべてを背負いもがく中での独断専行。一つ間違えば、空中分解にもつながるすれ違いも生まれていたのだ。
次期監督は、昨年発足した日本野球協議会に属する侍ジャパン強化委員会で議論される。まずは明確な監督像で透明性のある選定を行うことが重要。その上で米国代表のジョー・トーリGMのような存在も必要だろう。
19年のプレミア12、20年の東京五輪、21年のWBCと国際大会は続く。悲願の世界一奪還へ、真の「結束」を期待したい。=おわり=