滋賀学園・棚原192球奮投 延長14回壮絶投げ合い制した!

 「選抜高校野球・1回戦、滋賀学園6-2東海大市原望洋」(22日、甲子園球場)

 1回戦3試合が行われ、第2試合は滋賀学園が延長十四回の熱戦を制して初戦を突破した。背番号10の棚原孝太投手(3年)が、東海大市原望洋の最速147キロ右腕・金久保優斗投手(3年)に投げ勝って192球で完投。腰の張りで登板できなかった背番号1・神村月光投手(3年)とWエースを担う右腕がチームの窮地を救った。

 延長に入ると、右足がつりかけた。右手中指の裂けた箇所を固めた接着剤もはがれた。それでも1人でマウンドを守り抜いた。2人合わせて410球。棚原が金久保との壮絶な投げ合いを制した。

 「疲れた。正直、苦しかった。あんなにいい投手と投げられたので次につながる」

 危機を救った。神村が腰の張りで登板を回避。棚原は「完投するつもりだった」。朝食時に先発を告げられると、覚悟を決めた。

 序盤は力んで甘く入る球が多かったが、中盤から110キロ台のカーブと、縦に曲がるスライダーをコースへ制球。緩急の差で130キロ台中盤の直球を生かし、六回以降はスコアボードに0を刻んだ。

 神村の思いも背負っていた。沖縄出身の2人は中学時代に別チームでプレー。棚原は有名だった神村が滋賀学園に進学することを知ると、「いい投手と練習すればレベルアップできる」と沖縄を出ることを決断。背番号1こそ譲っているが、今ではWエースと言われるまでに成長した。

 転機は昨夏。8強に進出した昨年センバツはベンチ入りしたが、夏は調子を落としてベンチから外れた。練習試合では試合後に選手で行うミーティングに「入らないでいい」と仲間からも突き放されたこともあった。

 「迷惑をかけてきたので、借りを返したかった」。マウンド上は無表情でも、寮では沖縄方言で関西出身の選手をからかうなどおちゃめな17歳。チームメートの祝福に、192球を投げ抜いた右腕は心からの笑顔を見せた。

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