【はい上がったDeNA】ラミレス監督の「対話」と「柔軟さ」が選手を生かした

 DeNAは今季、11年ぶりのAクラスとなる3位に入り、球団史上初めてCSに進出する。長きにわたる低迷を抜けだし、上昇に転じた要因はどこにあったのかを検証する。第4回は、就任1年目のアレックス・ラミレス監督(42)。選手に積極的に声をかける「対話」と、現実を見ながら変化することをいとわなかった「柔軟さ」が、チームを浮上させた。

 「対話」と「柔軟さ」を象徴するのが、エース・山口とのやりとりだ。5月1日・阪神戦に先発した山口は、6-1の七回、無死満塁のピンチを迎えた。投球数は114。ラミレス監督は交代を決断した。しかし、後続投手の乱調で追いつかれ、八回には決勝点を奪われて大逆転負けを喫した。

 ラミレス監督は、こう明かしている。「あの後、山口と話した。『自分はもっと球数を投げられる』と言っていた。次からは考えるようになった」

 山口は次の登板となった同月8日の広島戦で1失点完投勝利。8月20日の中日戦では8回1/3で今季最多となる139球を投げている。最終的に、リーグ最多タイの5完投をマークした。山口との対話を重視し、自らの考えを変えた。

 一方で変えない部分もあった。今季9勝を挙げた2年目の左腕・石田は今季、最長イニングは7回、最多投球数は113球だった。100球を過ぎたところから打たれることが多いという傾向を見ての判断だった。

 変えるべきところは変え、変えないところは変えない。対話しながら選手の特長、状態を見極めて決断する。このスタイルを貫いた。

 打線は開幕から試行錯誤の連続だった。1、2番を任せるつもりだった石川、梶谷が故障で開幕に間に合わず、新外国人のロマックは不振。筒香は故障で4月下旬から離脱した。5月3日の時点で借金は最大の11。構想とはほど遠い状況だった。

 だからこそ自らの考えに固執しすぎることなく、チームを動かし続けた。そんな中で遊撃のレギュラーを獲った倉本、6月下旬から1番に定着した桑原、新人捕手ながら124試合に出場した戸柱らが頭角を現した。最終成績は69勝71敗3分け。勝率5割は割ったが、2位・巨人とは2ゲーム差。借金11から、見事な復活だった。

 「選手の特性を知ることで、それがより采配に生きてきていると思う」。ラミレス監督は胸を張る。指揮官の姿勢が、大きな成果を生み出した。CSという短期決戦で、どんな采配を見せてくれるのかも楽しみだ。(データはスタッツ・ジャパン提供)

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