大阪桐蔭のスーパー1年生・根尾が代打で公式戦初アーチ スキーで世界大会出場

 「秋季高校野球大阪大会・4回戦、大阪桐蔭3-2大阪偕星学園」(1日、舞洲ベースボールスタジアム)

 大阪桐蔭の“スーパー1年生”根尾昂外野手が代打で公式戦1号となる勝ち越しアーチを放った。学業、スキーとマルチな才能を持つことで中学時代から大きな注目を集めた逸材。名門・大阪桐蔭で1年夏からベンチ入りした男が、一振りで主導権を呼び込んで見せた。

 代打が告げられたのは1-1で迎えた六回、無死走者無しの場面。直前に右翼・山本ダンテ武蔵外野手(2年)の好返球で勝ち越し点を阻止したが、四回に失策から無安打で同点に追いつかれるなど、流れは悪かった。

 西谷監督から「流れを変えるつもりで」と送り出された公式戦2打席目。カウント1ボールからの2球目だった。外よりやや高めのストレートを完璧に打ち返すと、打球は猛烈な勢いで左中間に飛んでいった。

 「とにかく振っていこうと思った。まさか入るとは思わなかったです」と根尾。打球は横からの風を受けながらも、左中間最深部にスタンドイン。高校生の左打者が広い舞洲の左中間に打ち込むのは至難の業だが「高めのストレートをしっかりたたく」意識で放り込んで見せた。

 この一発が勝ち越し点となり、粘る大阪偕星学園を振り切って16強へと進出。新チームでは同級生の藤原恭大外野手(1年)らに遅れを取る形になっていたが「自分の準備とかで差がついている感じがした。結果を残そう残そうと思ってしまっていた」と言う。

 初戦の和泉戦では代打で空振り三振。練習のシート打撃でもあまりいい結果は出ていなかったという。転機が訪れたのは試合前、同校グラウンドの室内練習場で行った打撃練習。「振れていると感じた」手応えを見守っていた西谷監督も感じ取っていた。

 自信を持って指揮官は送り出し、100点満点の答えを打席で返した根尾。中学時代は生徒会長を務め、学業は「学年で2、3番でした」と明かした。夏はボールを握り、雪深い冬はスキーに励んだ。2年生の2月にはアルペンスキーの全国大会・スラローム競技で優勝。イタリアでの世界大会にも出場した。

 「スキーをやっていると下半身を使うので、しっかりと春先は下が使えるんです」と“二刀流”だった際の効果を明かす。3年時は野球に専念し、マルチな才能に恵まれながらも「野球以外を考えたことはなかったです」と言いきる。

 ここ10年、甲子園を席巻する名門に迷わず飛び込んだ根尾。身体能力はチームでもトップクラスで、天性のバネはキューバなど中南米の選手を思わせるという。試合後の取材が始まる前には、報道陣に向かって「根尾昂です。よろしくお願いします!!」。ここまで丁寧に、さわやかに挨拶する高校球児はいなかった。

 決して自らを飾ることなく、背伸びをすることもなく、謙虚に自分のありのままを語った根尾。どこか不思議なオーラを兼ね備える16歳の少年は「どこからでもチャンスを作れる、どこでもチャンスを生かせる打者を目指したい」と自らが選んだ野球の道にまい進していく。

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