米国スカウトの高校球児評

米国スカウトからの高い評価を受けている清宮幸太郎
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 今年、日本初開催のU-18ワールドカップ。スタンドには連日、メジャー球団のスカウトたち、総勢30近くがバックネット裏に通っている。その中には旧知の間柄の人物もいて、つたない英語ではあるが野球話をしていた。するとふと、あるスカウトがこんな問いかけをしてきた。「日本の選手は、なんで誰もが同じようなフォームをしているんだ?」と。特に打者は、軸足に体重を載せ、腕をたたんで下半身をうまく使い…。

 「よく言えば洗練されている。でも自分(米国人スカウト)たちからすると個性がない。個性とは好き勝手という意味じゃない。10人いれば10通りの体格、筋力の違いがある。ならそれぞれ異なったフォームを模索するのが自然。ところが日本の高校生は画一的な体の使い方、動きが多い」。彼は問いかけつつも、答えを知っている。つまり高校の指導者が、強い影響力で選手たちを指導しているから。要は、「型にはめている」と。

 「技術はすばらしい。だが小さく完成していて伸びしろを感じられない選手が目立つ。その点、まだ粗っぽい清宮(早実)は素材としての伸びしろを感じさせるね」

 一方、別のスカウトは、こんな意見を持ち出した。

 「日本の高校野球のレベルは非常に高い。技術、修正能力、なにより守備の洗練さは世界一だよ。でも、対照的にNPBの2軍を見ていても、指導者たち(監督、コーチ)の主義主張が感じられない」。このスカウトは高校野球の人材に頼り、2軍での育成がおろそかになっている、あるいは意識が乏しいと感じているのだ。

 ふたりのメジャースカウトが抱く、日本の高校野球へのイメージは賛否が異なる。ただいずれにしても、日本球界の“選手の育成”というものに違和感を抱いているのは一緒だ。

 このスカウトはこうも言った。

 「日本の高校生は、もっと伸びるポテンシャルを持っている。それは間違いない」

 ではその伸びしろを、いかに確実に、より大きくしていくのか。

 プロとアマの歩み寄りによって実現した侍ジャパンのU-18代表。関連してさまざまな交流も増えたが、これを契機に今後はより一層、選手の育成面にまで協力と議論を積み上げていってほしい。プロが間違っているということもある。アマが進んでいることもある。議論と交流が増えれば、魅力ある選手はもっと増える。

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