東海大四・大沢、涙はなし…夏こそ頂点
「選抜高校野球・決勝、敦賀気比3-1東海大四」(1日、甲子園)
北海道勢で52年ぶりに決勝に進出した東海大四(北海道)は、1-3で惜敗し、初優勝はならなかった。大沢志意也投手(3年)が5安打で完投したが、同点の八回に決勝2ランを浴びた。全5試合に登板して好投を続けたエースは、潔く敦賀気比(福井)の実力を認めて涙を見せることなく、夏の雪辱を誓った。
ほとんど表情を変えなかった大沢の口元が少しゆがんだ。苦笑いを浮かべ、ポンポンと右手でグラブをたたく。「やられたなと思って。そこは素直に」。決勝弾の相手をたたえた右腕は、試合後も涙を見せなかった。
同点の八回1死二塁で、外を狙ったスライダーが真ん中へ。「1球でチームの負けにつながってしまった。申し訳ない」。八回表の攻撃では、自身がスクイズを外されて勝ち越し機を逃したこともあり、責任を背負った。
だが、力は出し切った。抜群の制球で5試合40回を6失点。大脇英徳監督(39)も、女房役の小川も「よく投げてくれた」と、口をそろえた。昨秋神宮大会のコールド負けから鍛錬を積んで迎えた春の聖地。大沢には「すべての試合を通して、自分の成長がわかった」と手応えがあった。
北海道北部の天塩町出身。人口3300人の小さな町で育った。小学校時代は毎朝、父・和儀さん(45)が作った自宅裏のマウンドでキャッチボールをして5キロ走るのが日課だった。帽子のひさしの裏には『田舎魂』の文字。そんな思いを胸に春の頂点を目指した。
「この経験を生かして、夏に全員で帰って来たい。(日本一まで)もう少しだと思います」。今度は夏の聖地で勝って笑う。