東海大三・高井、母へ最高の親孝行
「選抜高校野球・1回戦、新庄6‐0東海大三」(25日、甲子園)
チームメートからは「ジュリアン」と呼ばれて愛されている。女性を連想する名前だが、東海大三(長野)の高井ジュリアン投手(3年)本人は「特に恥ずかしいとかはない。両親にいい名前をつけてもらった」と胸を張る。
日本とフィリピンのハーフで母のジョネットさん(41)と同じ頭文字から命名された。幼少期はかわいらしい顔立ちで女児に間違えられることが多く、名前にも抵抗感があったという。
小4で野球を始めたのが契機となった。「いろんな人に覚えてもらいやすい」と言うように「ジュリアン」のおかげで味方に愛され、相手にはすぐにその名が浸透。今では6歳の末妹をかわいがる心優しいイケメンだ。
日本滞在20年のジョネットさんは大の野球ファン。甲子園のアルプス席から長男に声援を送った母は「夢のようです。最高の親孝行です」と涙ぐんだ。
晴れの舞台で高井は自己最速141キロをマークしながら右肩痛を発症して5回96球で降板。エースの投球ができず「自分の力のなさをあらためて感じました」と唇をかみしめた。
毎朝5時起床できょうだい5人分の弁当を作ってくれた母を思い「今日までいろいろ支えてもらったけど、恩返しと言える恩返しができなかったのが悔しい」と自分を責めた。
「エースナンバーを背負って帰ってきて、全力で投げる姿を見せたい」。最後の夏こそ‐。ジュリアンは真の恩返しを誓って聖地を去った。