バレ不発…虎の敬遠に「がっかりした」
「ヤクルト2-0阪神」(14日、神宮)
一塁側の虎党からも、ブーイングが起こった。八回2死二、三塁。敬遠気味の四球に、歴史的瞬間を期待した3万1047人から落胆の声が広がった。11日の広島戦で王貞治(巨人)らが持つシーズン最多55本塁打の日本タイ記録に並んだヤクルト・バレンティンは、3戦連続でノーアーチだった。
「一塁があいた瞬間に歩かされると思った、正直、がっかりした」、一、二塁から渡辺が暴投し、二、三塁。新記録へ意気込んでいたバレンティンは、本音を漏らした。
今季の阪神戦での本塁打は4で、セ・リーグ5球団の中で最も少ない。先発の藤浪からも本塁打はなく、「阪神はあまり相性が良くない。阪神戦で6本くらい打たないと、60本には行けない」と自らに言い聞かせていた。だが、ルーキー右腕の前に六回まで3打数1安打。六回表の乱闘劇にも「ああいうことは試合で起こりうること。特別に変化はなかった」と集中力は切らさなかったが、「そんなに打てる球はなかった。自分で打てると思った球を右前に安打にしただけ」と振り返った。
この日朝、日本滞在中の母・アスリットさん(64)の手料理に舌鼓を打ち、パワーを備えた。さらにゲン担ぎで、55号を放ったときと同じくストッキングを「サダハル・オー・スタイル」にして記録達成への意気込みを見せたが、実らなかった。
15日は台風の影響で中止も予想される。17日からDeNA戦(横浜)だが、「もう球場うんぬん言っていられない。どこで打とうと、早くこの状況から解放されたい」と締めくくった。