【野球】阪神・高橋遥人の素顔 おちゃめな姿、冷めぬ野球熱 リハビリ組の小川&伊藤稜が語る

 阪神の高橋遥人投手(28)が4月17日に893日ぶりの実戦復帰を果たし、近日中にも復帰後3度目の登板を迎えようとしている。そんな遥人と2年以上、リハビリ組として過ごしたのが、小川一平投手(26)と伊藤稜投手(24)だ。間近で接してきたからこそわかる、遥人のおちゃめな姿や野球好きが伝わる瞬間を2人が語ってくれた。

  ◇  ◇

 小川も伊藤稜も時期は違えど、22年からリハビリ生活が始まった。遥人も同年の4月にトミー・ジョン手術を受ける。3人は球を投げられない時間を共有した。トレーナー室でも毎日のように顔を合わせ、一緒に治療。キャンプでもリハビリ組は基本的に外出禁止のため、自然と部屋に集まることが増えた。

 小川は2歳上の先輩を親しみも込めて、「遥人」と呼び捨てにしている。それほどの関係性でも、普段の行動に驚かされることがあった。「テンションのアップ、ダウンが激しかったんよ」。心が沈んでいる時は練習後に無言で帰宅。勝手に散歩へ行く姿も見てきた。

 遥人の口から何度も耳にした「ダメだ」という言葉。「心の奥底にポジティブがあるんやけど、表面上にネガティブがあるから」。小川はそんな性格も理解しながら、遥人の野球に対する熱に触れてきた。

 食事に行くと、気づけば野球談議に花が咲く。「ここは、こう」、「これがすごい」。1軍の試合を振り返りながら、配球や投球術を力説する。伊藤稜は「野球の配球とか、フォームの話になると急に真剣になるんですよ。普段は常にふざけてるのに…」と笑った。

 2人が共通して言ったのは「野球が好きなんでしょうね」。練習ではストイック。特殊なトレーニングをするよりも、地味で細かいメニューを黙々とするタイプだという。「小さいインナーマッスルとかもそうだし、それを毎日続けるのが一番きついと思うけど」と小川。コツコツと打ち込めるのが遥人のすごさでもあった。

 今春キャンプ中盤には小川が沖縄でプレステ5を購入。ソフトは伊藤稜の実家からウイイレを送ってもらった。小川の部屋に集まり、総当たりの対戦。最弱は遥人だったと小川が明かす。「俺は遥人に負けてない。だから、やろう、やろうって誘ってきた」。野球でもゲームでも負けず嫌いは変わらなかった。

 伊藤稜は体を洗い合うほど、とにかくかわいがられている。「サウナハラスメントを受けてます」と苦笑いしていたが、鳴尾浜でもキャンプ宿舎でも裸の付き合いをした。遥人は15分を2、3セット。伊藤稜は10分が限界。「まじ、きついって言ってるのに『あと1分』って。きつかった」。一緒に汗を流し、先輩左腕の背中を追ってきた。

 4月17日の復帰戦、2人も見守った。「うわ、投げてる!と思ったね」とは小川。うれしさよりも、懐かしさがあふれてきた。小川も順調に回復し、キャッチボールの強度も上がっている。5月中にはブルペンで傾斜を使っての投球練習も再開できそうだ。伊藤稜も4月18日にブルペン投球を再開。“兄貴分”に負けじと、2人も実戦復帰への道筋をたどっている。

 取材の終わりに、小川がボソッと言った。「いつか、遥人さんが先発で俺が八回、伊藤が九回とか実現したらいいな」。遥人の復帰までの月日を2人は見てきた。ここがゴールラインではない。3人が試合で共演する日が必ずやってくる。(デイリースポーツ阪神担当・今西大翔)

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