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“走る屋台”その名も「おでんしゃ」~豊橋鉄道

 発車を待つ「おでんしゃ」。夜便は赤ちょうちんの明かりがより雰囲気を醸し出す
 発車前からカンパーイ!
 ひもを引くと即アッツアツ!
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 寒さも本格化、帰宅前の“赤ちょうちん”が恋しい季節となった。豊橋鉄道名物“走る屋台”はその名も「おでんしゃ」。毎回満員で予約が困難なことでも有名だ。今年で10周年を迎えた“老舗”に、北風に肩をすぼめながら乗り込んだ。

 ◇   ◇

 車両中央の入り口にかかる赤のれんをくぐって、“店内”へ。まだ発車前だが、2人の女性アテンダントが手際よくジョッキに生ビールを注ぎ、お客伝いにジョッキを回していく。全てに行き渡ったところで早くも乾杯のゴングだ。

 中年夫妻、カップル、会社の同僚など乗客の年齢層もさまざまだ。ほんの数分前に初めて出会ったばかりだというのに、笑顔で語らいを楽しむ。「昼間っから生ビールなんてたまりませんなあ。ダハハハハッ」と中年男性のボルテージも上がる。

 主役のおでんにとりかかる。駅弁などでおなじみの加熱式容器のひもを引っ張ると、すぐに湯気が立ちこめてきた。豊橋ちくわで有名な地元のヤマサちくわ特製のおでんは具もつゆも「おでんしゃ」特製。昆布とかつおのダシがしみこんだ大根や、うずら卵はアッツアツのハッフハフだ。

 07年に運転開始してから10年、毎年ほぼ満員の高乗車率を誇る。発売と同時に予約電話がつながりにくくなるほどの人気ぶりで、「ジャニーズよりチケット取るのが難しい」との声も。グループの忘年会などで貸し切り運転の日もあるとか。

 ジョッキを2杯空けたところで、チンチン、と電車が動き始めた。この車両は3203型で55(昭和30)年製。名鉄岐阜市内線から豊橋にやってきた。おでんのつゆがこぼれぬように!?時速約15キロとゆっくりゆっくり走る。腹の底から響くモーター音とコンプレッサーの揺れが心地よい。

 赤ちょうちんやのれん、吹き流しなど車内の飾り付けもにぎやかだ。豊橋鉄道の社員が毎年手作りで飾り付けるという。「某九州の超高級寝台列車とは対極にあるアナログ感で勝負してます」と、豊橋鉄道運輸営業課の河合秀文さんは笑う。おでんだけではなく、“豊鉄社員”の暖かさも身にしみる。各地でおでんを題材とした列車が走るようになったが、『おでんしゃ』を09年7月に登録商標取得して、“元祖”であることをアピールしている。

 「運動公園前」でトイレ休憩後、再び豊橋駅前へ折り返す。景品が当たるじゃんけん大会や、カラオケ大会も始まった。勧め上手な女性アテンダントのおかげでジョッキも進む。過去には約1時間20分の行程でなんと17杯も飲んだつわものもいるという。

 もうすぐ豊橋駅前。“閉店”が近づいてきた。もう少し乗っていたいという名残を惜しみながら、最後は中年男性が歌う尾崎紀世彦の「また逢う日まで」で再会を約束!?千鳥足になりながら電車を降りた。

 ◆「おでんしゃ」メモ

 ▽運転期間 28日までの毎日と、新年は1月6日~2月28日。昼便と夜便の1日2回運転。夜便のみの日もある。全便予約制だが、ほぼ完売状態。

 ▽出発時刻 豊橋駅前電停に昼便が11時40分集合、57分出発、夜便が18時10分集合、25分出発。集合時に運転士に料金を支払う。駅前電停から運動公園前までを往復。所要時間はトイレ休憩時間なども含めて約1時間20分。

 ▽料金 定員は28人で、おでんとおつまみ弁当と生ビール飲み放題がついて大人3900円。缶サワーやソフトドリンクもある。10周年記念企画として、ワインなどのボトルサービスや、地元酒の準金箔(きんぱく)入り「ゴールド四海王」のカップ酒と記念焼印枡(ます)がついてくる。団体貸し切りの場合は28人で10万3000円。料金はすべて税込み。

 ▽予約・問い合わせ おでんしゃ専用予約ダイヤルTEL0532・53・2135

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