考える技術を磨くとき
【6月11日】
確か福岡出身だったよな…。博多駅ビルの書店で立ち読みすれば、ほら、やっぱり。思想はよく知らないが、経営的な哲学にはいつも「なるほど」と唸り、著著にも触れたことがある。
福岡で生まれ、マサチューセッツ工科大で博士号を取り、マッキンゼー&カンパニーの日本支社長も担った…。
大前研一である。
マッキンゼーといえば世界最高峰の戦略コンサルティングファームといわれるが、プロ野球界でいえば、DeNA会長の南場智子もここの出身者で有名だ。近年、経営コンサルに魅かれがちな僕だけど、10年ほど前に大前の著書『考える技術』をふむふむと読んで学んだことも少なくない。
【学校で教わるのは最初から答えのある問題だけだから、ほとんどの日本人は考えるというトレーニングをまったく受けたことがないのである】
刺激的な大前の弁だけど、僕もそうだ。概して、日本の子どもたちは最高学府を目指し、算数や理科、社会科も国語も「正解」ありきで黒板を写す。
一方で、野球少年をプロ野球選手へ導く教科書はどこにもない。野球は最初から「正解がないもの」だから。
打者が追い込まれてから変化球をヒットゾーンへ飛ばすための正解は?
その教科書をつくるとすれば…
「考える」というトレーニングを通し、「最適解」を見つける努力を惜しまないこと…とでも記すべきか。
さて、ここ福岡で鷹に勝つ正解、いや最適解は何だろう。これだけやられれば屋台のビールも苦い炭酸にしかならないが、藤川球児が試合後に語ったように、この3連敗を「力に変える」「学びに変える」しかない。
概して学びは反省や悔しさから生まれるものだ。福岡で3試合連続スタメンに名を連ねたDH前川右京は「教科書」のない中でどんな考えを巡らせ、打席に立ったのか。六回の同点打はフルカウントから変化球を拾ったもの。この一打を希望の灯にしたいところだが、そもそも右京はファームで何を学んで昇格できたのか。相応の結果を出したから呼ばれたわけだけど…。そのあたり、本人にぶつけてみた。
SGLで過ごした日々は、悔しさを「学び」に変える時間になった?
「先週の火曜日、(ファームの)ソフトバンク戦が雨で中止になったんですけど、そのときの練習で考えて少しだけ掴んだものがありました。これを何とかものにしたいと思っています」
今年の交流戦は数字だけ見れば、阪神はDHに苦心してきた。第2戦で右京が放った一打がチームの「DH初安打」。それが得点にも繋がったことで球児は3戦目も期待してグラウンドに送り込んだに違いない。
立石正広と同い歳だが、5年目の右京にアドバンテージはない。限られた椅子に座り続けるために論理的思考を駆使していきたい。今年も苦戦する交流戦だからこそ、逆にチーム内競争にチャンスは生まれる。大阪へ帰ってもビジターゲームは続く。セ・リーグでDH制が敷かれる来季に向け「考える技術」を磨く日は続く。=敬称略=
