味わい深い大竹の138キロ

 【4月18日】

 試合後、坂本誠志郎を待って聞きたいことがあった。0-0の三回に迎えたピンチの場面だ。2死満塁で高橋周平。前夜、村上頌樹が先制打を喫した左打者との対戦で「おっ」と思った。

 序盤最大の窮地で大竹耕太郎は坂本のサインにうなずき、カウント2-2から勝負球に直球を選択した。球速は138キロ。記者席からは真ん中に見えたが、これに高橋はタイミングが合わず自打球を当てた。その後チェンジアップを続け、空振り三振で0に抑えたわけだが、このシーンについ野暮な質問をぶつけてみた。なぜ、あそこで直球だったのか。坂本は言う。

 「何度も対戦している打者ですし、きのうも打たれていますから、難しい状況でしたけど、打者を見て、いろんなことを考えながら…ですね」

 二回の第1打席はチェンジアップで高橋周平を空振り三振に封じていた。こちらの臆測だけど、「回を跨いだ緩急」のように映った。チェンジアップを意識すれば直球に振り遅れる、と。

 「前の打席からの繋がりというのは誰に対しても、どんな状況でも、あると思いますけど、そこを利用するのか、もしくは、利用しないのか。そのときの状況とか投手の状態とかを見ながらにはなると思うんですけど、大竹がうまく投げてくれたと思います」

 対戦は続くのだから本来配球について話せることは少ないと思う。それでも坂本は丁寧に答えてくれた。

 なぜ、あらためてそんな話を聞きたかったといえば、速いとはいえない大竹の直球に興味が尽きないからだ。

 この日、阪神と中日、両先発の最速は140キロと143キロだった。ともに6イニングを投げ、3失点と2失点。大竹自身に勝ち星はつかなかったが、大野とのマッチアップは味わい深かった。4-3の接戦を振り返れば、敵ながら目を見張ったのはやはり大野の11奪三振。佐藤輝明は3三振を喫した。大野の直球の平均球速は130キロ台。変化球隆盛の時代に先発でほぼ3つの球種、直球、カット、ツーシームで勝負する。そんな投手はなかなか見当たらない。今年38歳を迎える左腕はまだまだ元気そうだけど、今後もずっとてこずるわけにはいかない。というか、そもそも大野にこれだけ三振を喫するのはなぜか。今さらだけど、そのあたりを取材してみると、スピン量が健在だというのだ。

 中日OBの中田翔がかつて「ボールの回転数の多い投手」について不思議がっていた。「なぜか打ってもファウルになるんですよね」と…。こちらも勉強不足だったので他球団のアナリストを取材してみると、セ・リーグで回転数の多さ、その上位は、阪神では才木浩人、中日では大野雄大とルーキー櫻井頼之介の名が挙がった。回転数が多ければ「揚力」が働くため、ボールが浮き上がる。さらに回転軸が縦回転であればあるほど捉えづらい球質だといわれるが、では、大竹の回転数は?

 「平均的」だそうだ。坂本が言うように「うまく投げてくれる」左腕、その最速140キロの直球に興味が尽きない。取材を続ける。=敬称略=

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