プホルスが友に伝えた念願
【3月11日】
米カリフォルニア州オレンジカウンティから写真が届いた。鮨店のカウンター、左は筆者の知人。その隣でほほ笑むのが、WBCドミニカ共和国代表監督のアルバート・プホルスだ。
「こっちのテレビではNFLのトレード、NBA、NHLが多くて…。WBCがトップにこないんだよ」
そう嘆く写真の送り主は河合直行…名を聞けばピンとくる読者もいるかもしれない。ロサンゼルスを拠点にかつてMLBやNBAなど大物アスリートのエージェントとして名を馳せ…ってキャリアを書けばキリがないのでこのへんで。プホルスとは現役時代からの親友で家族ぐるみの付き合いがあり、ふだんから自宅のある西海岸でゴルフを楽しんだり、食事へ行ったり…。
このたび、ドミニカ共和国の指揮官は河合にこう言っていたそうだ。
「オオタニの日本と戦ってみたい」
井端ジャパンが準々決勝、もしくは決勝戦で当たるかもしれないドミニカ代表チームといえば、スタメン総年俸が3599億円ともいわれる豪華布陣である。フアン・ソト(メッツ)やブラディミール・ゲレーロJr(ブルージェイズ)、マニー・マチャド(パドレス)、フェルナンド・タティスJr(パドレス)…。が、そんなスター軍団であれば、みんなお山の大将で一枚岩になれない脆さが出てくる。勝機は十分と思っていたが、河合は言う。
「誰もプホルスには逆らわないと思うよ。彼はMLBの人格者だから」
ドミニカ共和国の英雄プホルスは、メジャーデビューの01年に新人王に輝き、そのシーズンから10年連続「3割30本塁打100打点」をマークした怪物だ。3度のMVPに輝き、カージナルスを2度の世界一に導いたことはご存じの通りだが、日本のファンにとっては、それ以上にこのレジェンドが晩年に「大谷翔平の師」になったことで更に有名になった。
エンゼルス時代の大谷が同僚のプホルスに「すり足」打法を倣い、その後覚醒したエピソードはよく知られるが、メジャー駆け出しの異才がこの人に教えを請いたいと思った動機は、その偉大な実績だけではなかったのでは?
そんなふうに聞けば、河合は「そうかもしれないね」と言う。
「プホルスはお酒もタバコもやらないんだよ」
見た目で決めつけちゃいけないが、この風貌と体つきだから、葉巻も似合いそうだし、てっきり酒豪かと。人柄を聞けば球場でもその外でも紳士で、対面すれば実績や年齢は関係ない。メジャー通算703本塁打の英雄が誰に対してもフラットで心配りを逸することがなければ、そりゃ大谷も慕う。
何を言うかより、誰が言うか。
球界でもよくそんなことを聞くが、しかし、「実績さえあれば説得力をもつ」のはもう古い話で、近頃はレジェンドであろうが上長であろうが、その人格をリスペクトできなければ、誰も心からついていくことはないと耳にする。そういう意味では、実績も人格もスーパーなプホルスの求心力は侍の脅威になるかもしれない。=敬称略=
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