金本の謝罪から4年
【10月9日】
10月10日といえば、思い出す。空席が目立つ甲子園で阪神監督の金本知憲が深々と頭を下げた夜。4年前のきょうである。最下位に沈んだ責任を一身に背負い、つむいだ謝罪の弁を、いま思う。
「こういうチーム状態の中、1年間、最後まで応援していただきまして、心より感謝を申し上げます。選手たちは本当に開幕から目いっぱい体を張って頑張ってくれましたけど、私の力足らずのためこういった結果に終わってしまい心より謝罪とおわびを申し上げたいと思います。この悔しさを選手たちは真摯に受け止め、来年必ずたくましく帰ってくれるものと信じております。本当に心よりおわび申し上げます。そして1年間本当にありがとうございました」
これが全文。
感謝、謝罪、謝罪、感謝…。
金本の心に、悔しさ、やるせなさ、腹立たしさが混在していることが手に取るように分かった。
僕はこの挨拶文の中で最も「悲しみ」を感じたのは…
選手たちは、来年必ずたくましく帰ってくれる-。
「金本の解任」が明らかになったのは、この翌日だった。
「選手たち“は”帰る」と語ったその意味を読み解けば、取材してきたこちらも悔しくなった。
このあとすぐに球団は矢野燿大新政権へのシフトチェンジを敢行するわけだが、これを主導した阪神電鉄本社(いや、その裏にあった決して表に出てこない大きな力か)は「矢野阪神の4シーズン」をどう総括するのか、僕は、とても興味深い。
矢野政権の4年連続Aクラスは00年以降では岡田彰布政権と並ぶ数字である。育成も主眼にした4年間でこの成績は評価されるべきだし、最下位を「独走」した4月からこれだけ巻き返したことを思えば、秋の虎党は夢の中にいるといってもいい。
勝てなかった(優勝できなかった)ことで、矢野のやり方(あり方)が揶揄されがちだけど、しかし、「たくましくなった選手」とともに戦う矢野が未だ「日本一」の資格を有していることを多くのファンが誇りに感じていること。これは、我々報じる側も存分に心得なければならない。
得点力が乏しい。タイガースの内外、誰もが認めるウイークポイントは、もしかしたら、このCSの航海中に、解消への糸口、来季への光が見つかるかもしれない。
金本が見れば羨む戦力が今のタイガースにある。たくましく帰ってきた金本チルドレン、そして矢野のもとで覚醒した教え子たちの力は、3位でおさまるような、控えめなものではないと感じる。
CSファーストステージは、これで五分。おもしろくなった。
監督金本のラストステージは、空席が目立った。しかし、矢野のそれがいつになろうと、きっとスタンドは埋め尽くされ、そして、「矢野コール」に溢れるだろう。
そのコールがうれし涙とともに溢れることを祈って、ポストシーズンの取材をまだまだ続けるつもりでいる。=敬称略=
