やられたらやりかえそうか

 【8月8日】

 土曜の朝はTBS系「サワコの朝」をよく見る。ご存じ、阿川佐和子のMCが癒やしのトーク番組だけど、この日のゲストは尾上松也。ドラマ『半沢直樹』に出演する今を時めく歌舞伎俳優である。

 尾上によれば、コロナ禍は梨園も直撃し、舞台に立てない日々が続いたそうだ。そんななか、中断されていた『半沢』の撮影が再開されると、役者として演技できる幸せを痛感し、涙が出たという。

 『半沢』でスパイラル瀬名社長役を熱演する人気演者の認知度は世代を越えてさらに広がったようだけど、阿川とのトークで、知られざる苦労話も明かしていた。

 「30歳になるまでに結果が出なければ全てをやめようと思っていました。歌舞伎も??そうです」

 現在、35歳。僕よりひと回り以上若いとは思えない風格が漂うのは、自ら退路を断って生きてきた証しか。直に会えば、間違いなく立ち合い負けしそうな〈迫力〉が画面を通じて伝わってきた。

 ちなみに尾上は大の野球好きで昔から草野球のポジションはサードなんだとか…。

 現在、25歳。僕よりふた回り若い4番サード大山悠輔は今どんな気持ちでタテジマを着ているのだろうか。阪神不動の4番に…当欄はそんな期待を寄せてルーキー時代から彼を見てきた。だから、24歳にして本格的に4番を担った背番号3が頼もしく映っている。

 この夜は、15打席ぶりのヒットが同点ホームランになった悠輔である。30歳になるまでに不動の4番になれなきゃ野球をやめる…そんな腹のくくり方をするかどうか別にして、昨年から再三書いているように、彼はよくやっている、何をごちゃごちゃ言われなあかんの-と、僕はずっと思っている。今春キャンプ中も書いたので詳細は省くけれど、同じ大卒4番のミスタータイガース田淵幸一の最初の3年間と比べても、本塁打をのぞけば、安打、打点、得点はいずれも大山が田淵を上回るのだ。

 この夜、テレビ大阪で解説していた江夏豊は「これぞ、4番のバッティング」と、大瀬良大地から放った同点弾を絶賛していた。

 たった一言だけど、ズッシリ重い解説である。

 江夏は解説席で例の「投手・増田」についても語っていた。世論は賛否の賛が多いようだけど、大投手は「(球場へ観戦に来たファンに)失礼ですよ」。さらには、ピッチャーマウンドという場所は「勝ち抜いてきて上がるもの」と原采配に疑問符をつけたのだ。

 そういえば、尾上松也は大の原ファンなのだとか。そりゃ「投手増田」は「大賛成」…だろう。

 日曜日の夜は『半沢直樹』を見る。きょうはもちろんCT戦を見終えてから。さぁ、どんな気持ちでテレビの前に座ろうか…。

 聞けばJ・マルテが2軍でまた痛めたそうだ。ちょっと時間がかかりそう。となれば、大山が…。この夜、二回同点弾の4番は八回の好機では内野フライに倒れた。

 やられたらやりかえそうか。スカッとして『半沢』を見させてもらえるように。=敬称略=

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