見て見ぬふりは同罪
【12月5日】
医者と弁護士を友に持て!これは訴訟社会のアメリカでよくいわれる格言である。当方の大学の後輩には、まぁ優秀な人間が沢山いて、すんなり(?)司法試験に受かった鬼才が3人もいるのだ。
この日、その後輩、いや、センセイにこんな話をぶつけてみた。
罪を見て、見ぬふりをした者は同罪になるのか?
我々の日常でいえば、例えば、昨今よく聞く、職場におけるセクハラとか、経費の横領とか。
後輩いわく…。
「管理職は職場環境を整える義務があるので、セクハラもそうですし、社のコンプラに抵触するようなことを目の前で目撃しながら見て見ぬふりをしたり、止めなかったりするのは、責任を果たしていないということになるので…」
そういえば昨年、兵庫・川西市の副市長が女性職員にセクハラをした際、その副市長と同じ場にいて〈見て、見ぬふりをした〉男性職員も同じく懲戒処分された事例がニュースになっていた。
組織で相応の立場の人が〈罪〉を知りながら見のがす。見て見ぬふりをする。そんな行為があった場合、その者も〈有罪〉…。
「調査となると、ちょっぴり発生しますけど、またいつでも…」
指でコインマークをつくりながら後輩は笑っていたけれど、もし看過ならないことがあれば「相談するよ」と返しておいた。
こちら、犯罪ではないけれど、見て見ぬふり…もどうかと思うので、タイガースの気になる案件について少し触れておきたい。
きのう本紙が報じた掛布雅之前オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(SEA)が阪神で〈再登板〉する件である。
10月31日をもって退団したミスタータイガースが、阪神電鉄本社内でアドバイザー的な新ポストを用意される-というものだ。
本紙の若い記者から「何なんですかね?このドタバタは?」と、呆れ気味に聞かれたので、当方の取材の限りを話しておいた。
そもそもSEAの肩書も、2年という任期も、坂井信也前オーナー時代に交わされた契約である。 それを念頭に読んでいただきたいが、事の発端は、掛布SEAが任期満了になる2カ月前の今夏。どこから漏れたのか、「掛布今季限り」という契約内容がメディアに流れた。案の定、「球団はなぜ掛布を切るんだ」と阪神世論は一気に荒れたわけだけど、あの当時大阪・野田の本社筋を取材していると、「は?」「いやいや…」の声。任期満了までまだ60日ほどある中で、オーナー藤原崇起は「掛布の新たなポスト」を思案、検討している-と当方も聞いていた。
だから、今回の「復帰」報道はしっくりこない。この世界、ちょくちょく恣意的なもくろみが聞こえてくるけれど、いずれ〈首謀〉が明らかになって萎える。虎将・矢野燿大の心得は「ファンを喜ばせる」である。選手のプレーもさることながら、その理念を本気で共有し、ゴタゴタをスルーしない「ONE TEAM」の球団であってほしいなと思う。=敬称略=