世界を挑発せよ!

 【8月23日】

 東京メトロ外苑前駅からスタジアム通りを神宮球場へ向かって歩くと、左手に都立青山高校が見えてくる。校庭のフェンス沿いにカラフルなポスターが展示してあるので近寄ってみると、へぇ…。

 掲示板の説明を読めば、青山高校が主催する「青山ストリート装飾コンテスト」の優秀作品が展示されているようで、テーマはずばり、来夏にせまる東京オリンピック・パラリンピックの機運高揚。色とりどりの絵画やデザインは、どれも素晴らしいものだけど、そんな中でも一点、とりわけ目を引くキャッチワードがあった。

 世界を挑発せよ-。

 「高校生の部」の優秀賞に選ばれたこの作品がアーティスティックで、ドキッとさせられた。

 「挑発」と記した意図を作者に聞けないのが残念だけど、おそらく、このフレーズは「驚かせろ」「衝撃をあたえろ」的なニュアンスではないだろうか。オリンピックスタジアムから一番近い高等学校発、ニッポン選手団への激アツエール。ええやん、ええやんとつぶやきながら。神宮球場へ…。

 五輪まで一年を切ったのだから当然だけど、ここに来る度に周辺の景色が変わる。外苑のヤクルト練習場に隣接する広大な草野球のフィールドもガラッと姿を変え、オリンピックスタジアムのサブトラックに生まれ変わろうとしている。そういえば、五輪期間中、神宮球場は来賓の待機場所や資材置き場として使用されるんだっけ。

 だから、来夏、ヤクルトは主催試合開催の代替球場に東京ドームを使用することになりそうだけどこの措置を歓迎するヤクルトの選手は実は少なくないと聞く。

 「数字では表せないけど、夏場は、ドームと屋外では体力の消耗度が全く違います。僕らも(ヤクルト戦が)ドームならありがたいですからね」。阪神三塁コーチの藤本敦士はホンネを明かす。

 ええやん、ええやん。こちら、この夜の高橋遥人である。

 ひとつまた、独断で気の早いこと書いちゃってよろしい?

 来年のタイガースの開幕投手、彼じゃないだろうか。少なくともそのポジションを争う存在に違いはない。もっといえば、我らが遥人…もしかしたら、来夏、日の丸を背負って世界を「挑発」しているんじゃないでしょうか。

 あまり書くとプレッシャーになる??いえいえ。取材の限り、遥人クンは、そんなものに揺さぶられるタマじゃない。「日本代表?そんな、僕なんて…」と控えめに身をかがめながら、いざとなれば肝が据わるタイプだと思う。

 遥人のパフォーマンスに不安を感じなくなった2年目のシーズンである。球団幹部に聞けば、昨年まで肩の筋力などフィジカルに不安を抱えていたこともあり、先発投手陣のなかで遥人の登板に限ってはレポートの提出が〈マスト〉になっているそうだ。健康管理によって筋力を含めたスタミナ面がどんどん強靱になれば、彼の肩書きに「五輪代表」が添えられるのも何ら不思議じゃない。世界を挑発する遥人…イイね!=敬称略=

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