ボコボコ打てないのだから

 【8月12日】

 セ・リーグ唯一の300点台を脱したかった。何のことか?今季阪神の総得点の話である。巨人のそれは、500点を超えているので差は100以上。本拠のサイズを差し引いても、少し寂しい。

 この試合を終え、阪神の総得点は397。一方、失点は464。つまり、ここまで得点と失点の差は、マイナス67。セ・リーグではAクラスの3球団がプラスで、Bクラスの3球団がマイナス。その差が明と暗を分けている。

 「ウチと阪神はお互い守りのチームだからな。ボコボコ打てればそれに越したことはないけど、そう簡単にいくものではないから。やっぱり、どう凌(しの)ぐかだと思うしね。お互い、バッテリーで守りにいかないとな…」

 これは開幕直後、中日バッテリーコーチ中村武志から聞いた話である。今この言葉を振り返ると、なるほどと、うなずくばかりだ。

 中日のチーム打率はリーグトップを争うのだが、リーグ最少の本塁打数が影響し、総得点は阪神と最下位を争う。

 自軍は「守り」のチーム-。中村の発言を聞けば、与田竜にはハナからそんな認識があったことが分かる。矢野阪神にもあったと思うけれど、分かっていても、対策を順位に反映させるのは難しい。

 甲子園で勝つための〈守り中心の〉チーム作りが理想。

 ボコボコ打てないのだから「バッテリー中心に堅守のチームを作る」。分かっちゃいるけれど、言うは易しである。

 梅野隆太郎が正捕手に定着するシーズンと見ていたが、ここのところ、定まらなくなってきた。

 先発マスクは、先発投手、その他の事由によって変わる。この夜はO・ガルシアが先発だから坂本誠志郎…という具合に。スタメン捕手は梅野、坂本、原口文仁の3人制を敷く形である。

 開幕当初、中村に矢野の性格を聞いたところ「シーズンに入ったら変わるんじゃないか。というか変わるよ絶対」と、語っていた。

 梅野が「不動の座」を築いたかに見えたけれど、矢野はまだ「正捕手」の肩書を渡さない。

 「正捕手は梅野で決まり」と書き続けてきたのは当欄。でも、矢野のスタンスはキライじゃない。

 簡単なもんじゃないんだ-。

 そんなメッセージが梅野のメンタルをどんどん強固にすると信じているので…。

 ちなみに、阪神の3捕手がスタメンマスクをかぶった試合の勝率を本紙記録部員が教えてくれた。

 梅野=93試合45勝43敗5分け。勝率・511。

 坂本=12試合3勝9敗。勝率・250。

 原口は3試合で1勝2敗だという。

 矢野は言っていた。プロは「結果が大事」である、と。当方もその通りだと思う。

 数字を出した者がレギュラー。この弾き方がシンプルだし、ファンにとっても分かりやすい。

 今年も扇の要を決めきれなかった虎。絶対的な捕手=矢野を見ていただけに、寂しい。=敬称略=

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