だめだこりゃ…とは言わない
【8月25日】
ミスを引きずるな!プロ野球でもよくそんなことを言われる。でも、ミスをした張本人が一番、引きずりたくないと思うわけで…。
序盤のミスを引きずり、結局、その試合は最後までボロボロ…そんな選手に向けて「引きずるなよ!」なんて、新聞の評論なんかで書いてあると、僕ならどう思うだろう。「そんなん、分かっとる」と舌打ちをする…きっと。
この夜、東京ドームで毎日放送のベテランアナウンサー馬野雅行と長話になった。大センパイは当欄を愛読してくださっているようで、会えば「風、きょうも読んだよ~」と声をかけていただく。
先日、ここで毎日放送の中堅アナウンサー金山泉の失態(?)エピソードを取り上げた。実況で「ドリス」を「ドリフ」と言い間違え、解説の亀山つとむから「誰が大爆笑やねん!」とツッコまれた話である。金山の許可をもらって書かせてもらったものの、題材は「ミス」だから、「指導」の対象になってもおかしくない。
柔和な語り口調で、僕なんかにも腰が低く、業界ではオアシスのような馬野センパイだけど、毎日放送ではチーフアナウンサーであり局次長…金山にとっては直属の上司なわけで、書いておいて無責任だけど。笑い話にもできない。
「いや、あのミスはね…金山はダメだよ」
やっぱり、怒ってる…?
「亀ちゃんがせっかく、いいツッコミをしてくれたんだから…」
そっちっすか?
「あの後、『ドリス』って言い直して、黙っちゃったらダメだよね。俺が金山なら、更に切り返すよ。『だめだこりゃ』ってね…」
わぉ~。
ドリフのコント、いかりや長介の流行語…若い人は知らないか。
いずれにしても、連敗の夜にふざけたら、読者も気分が悪い…いや、本題はここから。
馬野も若いころはよくミスをしたそうだ。「『ピッチャー、第1球、舐めました!』なんて言っちゃったこともあるし…。ただ、誰も傷つけない言い間違いは敢えて言い直さない。あ、間違えた…と思っても、流す。引きずらない」
それって信念ですか?メンタル強くないとできませんよね?と問うと、馬野は「経験だよ。若いころは最初にミスすると、最後まで引きずってボロボロだった…」。
引きずらないように…そう思って見ていた。北條史也である。
初回無死一塁で犠打を失敗し、併殺。相手は菅野智之だから得点機を確実に…そんなこと、やっている選手は百も承知。北條だってそうだけど、ままならないのだ。結局、第2打席は打球判断と走塁がうまくいかず、第3打席は好機で三振。第4打席も三振…。
バント失敗は今季何度目か。それもあって取り返す気持ちが余計に空回りした…と、ここで指摘するのは簡単。でも、書く意義が見当たらない。来年こそレギュラー定着の年にしてほしい。だから北條がこの夜のミスを無駄にしている…と感じれば、そのときはここで書こうと思う。=敬称略=