「やまくら」に負けない用兵

 【2月11日】

 「ハマの大和」の周りには番記者の人だかり。試合後、声を掛けようにも、あぁ…バスに乗ってしまった。あらかじめ、この光景は想像できた。だから試合の4時間前に先回りして…。DeNAがここ宜野座へ来る前に会ってきた。

 「わざわざこっちまで来てくださって…ありがとうございます」

 ベイスターズのキャンプベースは宜野湾。沖縄本島中南部、市の中央を普天間飛行場が占める基地の街である。この日、突風に見舞われた朝から全体練習に参加する大和がいた。新天地のキャンプも11日目。何だろう…寂しいような嬉しいような、練習着から何から横浜ブルーが板についている。

 「はい。もう既に何の違和感もなく…。最初の不安は初日、2日目くらいで一気になくなりましたよ。主力選手も僕が溶け込みやすい環境をつくってくれますし、ここの若い選手もすごく人懐っこいというか…やりやすいですね」

 聞けばシーズンオフに肉体を3キロ絞ったそうだ。けれど、そんなふうに見えないのはなぜだろう。太ももがパンッと張っていて胸板も厚みを増した。逞しく映る。

 「『大丈夫か?友達できたか?』って、タイガースの選手から心配の連絡をもらいます。みんな気遣ってくれて…。僕は元気です」

 「自信」が大和を大きく見せているのか。彼を18歳のころから見てきたオッサン記者は感慨深い。

 「2番、ショート、大和…」

 宜野湾からレンタカーで高速道路をつかって40分。虎のベース宜野座に戻ってくると、外野席まで埋めた阪神ファンから温かい歓声が響いていた。街の名が一字違いでややこしいけれど、宜野湾で大和はこんなふうに話していた。

 「早速、ショートでスタメン?はい。倉本と一緒にどんどんやっておかないといけないので。しばらくはセカンドとショート、1試合ごとに倉本と入れ替わりで…」

 昨季ショートで全試合出場したDeNA倉本寿彦との連係を鉄壁にするため、「やま・くら」コンビは開幕までとにかく実戦を重ねていくのだとか。阪神内野守備走塁コーチの久慈照嘉に聞けばこうだ。「やはり試合の要所で(二遊間で)ゲッツーを取れるかどうか…これは本当、大事なんだよ」。

 となると、気になるのは阪神。僕は金本知憲の決断の時期に注目していた。内野の候補者が多いのは嬉しい悲鳴だけど…金本の公表は早かった。「(二塁候補だった)大山はサード」。久慈は言う。「(二遊間は)そりゃ固定できるに越したことはない。でも現状、どうかな。(二遊間)どちらか固定できれば…。ソフトバンクも(優勝時の)ヤクルト、巨人もどちらかは固定できていたでしょ」。

 昨季、ショートの守備率は大和の・987がチーム最高だった。

 「楽しみですよ」。FA戦士は本番の阪神戦が待ち遠しいようだ。

 ウィリン・ロサリオが「本物」なら打線の迫力は桁違いになる。だとすれば、ショートはある程度「守」重視の選択肢もあるのか。そのあたりの用兵も金本の決断を楽しみに待ちたい。=敬称略=

編集者のオススメ記事

吉田風取材ノート最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス