羽生結弦の言霊を思う

 【2月10日】

 平昌オリンピックが開幕した。夏冬問わず、昔から五輪だけは開会式を見るようにしている。仕事柄…というより、興味があるといったほうがいい。いよいよ始まるというワクワク感…。ま、僕の話はいいとして、国民の興味といえばやはり一番は「復活の金」を期待される羽生結弦だと思う。

 昨秋負傷した右足首の回復を優先し、まだ練習拠点のカナダにいるそうだ。9日開始の団体戦を欠場するため、入場行進にも羽生の姿はなかった。来週末から始まる個人種目に注目が集まるが、僕らのもとには羽生のナマのコメントがなかなか伝わってこない。

 言うまでもないけれど、このコラムは阪神タイガースとともにある。どんなネタもタイガースを置き去りに書くことはない。羽生と虎…。当事者に直接的な関連はなくとも、僕の中で繋がりはある。

 羽生の首もとに光るチタンネックレス。これは金本知憲や藤浪晋太郎が契約するファイテン社製のものだ。実は羽生のファイテン歴は長く、8歳の頃から実父の薦めで同社の製品を愛用している。そんな経緯もあって、彼はソチ五輪で金メダルを獲った14年の末に同社とアドバイザリー契約を締結。以来、羽生に寄り添う同社スタッフは、これまで金本や藤浪を担当してきた方で、僕もなじみ深い。ただ今回は羽生の肖像権が日本オリンピック委員会管轄になるためファイテン社は大会期間中のWEB掲載を自粛。ここでも羽生の情報はシャットアウトされている。

 復活を待つファンへ、羽生の声が届く日を楽しみに待ちたい。

 「よく言霊(ことだま)といいますけど、言葉は発した時点で力を持ちますからね。ああいうコメントは凄くいいと思いましたよ」

 阪神のキャンプベース宜野座で球団本部長の谷本修が言った。若い選手の練習を見ながら、谷本と1時間ほど話をさせてもらったのだが、先日7日の紅白戦で投げた藤浪の話題にもなった。今年初登板の良しあしよりも、谷本は当日藤浪の会見を聞いて「去年より発言が前向きになっていると感じました」という。「状態が上がればもっといいボールが投げられる」「先発投手の仕事はローテを守ること。200イニングくらい投げられたらいいと思う」-。

 藤浪の発言を振り返ってみて思い出した。羽生は所属契約する全日空の機関誌でこう話していた。 「家族の前で弱音を吐くこともありますが、公の場では自然とポジティブな方向に考えて発言する自分がいます。言葉にすることで考えが整理されて気づけることもたくさんあり、それが結果として苦しいことや壁を乗り越える力につながっています。そういう意味では、こうして発言する機会があることに助けられている……」

 僕みたいな常人には到底経験できないレベルだけど、言っている意味は理解できる。復活過程という意味では藤浪もそうなのか…きょう聞き損なったので、今度確かめてみよう。藤浪と羽生…同じ1994年生まれ。同じ23歳。ともに戌年。年男である。=敬称略=

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