【阪神ドラフト選手特集・戸井零士(1)】天国の“師匠”祖父との約束を果たした

天理の主将として甲子園でも活躍した戸井
 幼少期、後に野球を始めるきっかけを与えてくれた祖父・加藤英男さんと戸井(家族提供)
 小6までは極真空手にも打ち込み、全国8強に進出した戸井(家族提供)
3枚

 10月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた7選手(1~6位・育成1位)の連載をお届けする。第5回はドラフト5位の戸井零士内野手(17)=天理=。

  ◇  ◇

 野球との出会いは小1だった。母方の祖父・加藤英男さんに連れられ、京セラドームでオリックス対日本ハムを観戦。たまたま目にしたダルビッシュ(現パドレス)の投球に一発で魅了された。当時6歳の零士少年は一人で前の席に下りていくと、その場から動くことなくグランドに視線を送っていたという。

 翌日から近所に住んでいた祖父の手ほどきが始まった。自宅裏の公園でノックを受けるようになった。母・夕子さん(52)は「雨の日以外は毎日でした」と証言する。手にするグラブやバットはもちろん、おじいちゃんに買ってもらった。

 英男さんは熱烈な阪神ファンでもあった。1985年の日本一に歓喜した世代だ。シーズン中は祖父と孫が一緒にサンテレビの阪神戦中継を見るのが日課だった。零士は今でも「野球の師匠はおじいちゃん」と答える。

 祖父は零士が中3の秋、誤嚥(ごえん)性肺炎のため78歳で他界。高校進学を控えていたこともあり、「甲子園で日本一になって、プロ野球選手になる」と約束した。今年のドラフト会議で阪神から指名を受けた運命に、夕子さんは「生きていたら、本当に泣いて喜んでいたと思います」と涙ぐむ。

 小2で地元の軟式野球チーム「ポルテベースボールクラブ」に入団。強肩を見込まれ、捕手を任された。しかし、当時は野球より先に始めた極真空手に熱中していた。零士は「K-1の試合を見て格好いいなと思い、自分からやりたいと言いました。小4ぐらいまで野球より空手の方が好きでした」と明かす。

 夕子さんによると「もともと優しい子だからミットは蹴れても、最初は人を蹴ることができなかった」という。本気で相手を蹴りにいかないと勝てない。負けず嫌いに火が付いた。上級生を手本にモノマネから入り、どんどん技術が上達。相手の顔面にも蹴りを入れられるようなった。

 極真空手では小学生で最高位の茶帯を小5で取得。小6冬に出場した全国大会で8強に進出した。幼少期は本気でK-1戦士に憧れていた零士が「空手はやり切ったから、野球に専念したい」と言い出したのは中学進学前だった。小5から「松原ボーイズ」で硬式に転向し、野球の面白さにはまっていた時期とも重なった。黒帯への未練もなく、空手に区切りをつけた。零士の心は完全に野球で占められていた。

【戸井零士アラカルト】

 ◆生まれ 2005年1月18日生まれ、17歳。大阪府松原市出身

 ◆サイズ 181センチ、82キロ

 ◆血液型 A

 ◆投打 右投げ右打ち

 ◆家族構成 両親と姉

 ◆球歴 小2で軟式のポルテベースボールクラブで野球を始める。小5から中3まで硬式の松原ボーイズに所属。中1夏にU-12日本代表として、台湾でのW杯出場。天理では1年秋からメンバー入りし、2年春、3年春夏に甲子園出場。高校通算13本塁打。遠投105メートル、50メートル走6秒5

 ◆目標とする選手 楽天・浅村栄斗内野手

 ◆座右の銘 苦しまずして栄光なし

 ◆好きな食べ物 焼き肉

 ◆好きな芸能人 NiziU(AYAKA推し)

 ◆野球以外の特技 極真空手(小6で全国大会8強)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス