【阪神ドラフト選手特集・井坪陽生(3)】コロナ禍での苦しい高校生活 自分と向き合う時間で成長

 関東一時代の井坪(家族提供)
 八王子リトル時代の井坪(家族提供)
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 10月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた7選手(1~6位・育成1位)の連載をお届けする。第3回はドラフト3位の井坪陽生外野手(17)=関東第一。

  ◇  ◇

 「この大会でダメだったら、プロは厳しいぞ。持てる力を全て出せ」。多くのスカウトが視察に訪れた春季東京都大会。初戦の紅葉川戦直前、陽生に米沢貴光監督(47)はゲキを飛ばした。

 「投手じゃないので、夏どうこうより、春にいかに結果を出すかだと思っていた。野球への取り組み姿勢も含め、またグッと力を入れてくれた」と米沢監督。チームが優勝を飾った同大会で、陽生は5試合に出場して18打数7安打、2本塁打、9打点と結果を残し、プロの世界を一気にたぐり寄せた。

 監督の言葉に奮い立てたのには、理由がある。中3夏のU-15日本代表で結果を残せず、悔しさを晴らすことを誓って迎えた高校生活。だが、順風満帆ではなかった。

 「青春って、すごく密なので」(仙台育英・須江監督)-。2022年流行語大賞の選考委員特別賞に選ばれた言葉が象徴するように、まさに陽生たちはコロナ禍での苦しい高校生活を強いられた世代だ。米沢監督は「部員で集まっていたり、外で走っていたりするだけで注意を受けた時期もあった。彼だけじゃないですけど、入学当初は体が少しなまっていて動けていないなというのは感じてました」と振り返る。

 そんな中でも1年秋にベンチ入りを果たした陽生だったが、2年春、夏にはメンバーから外された。米沢監督は、こう理由を明かす。「結果だけを見ちゃっていたところがあったので。『結果さえ出せば』とならないように、野球に対する取り組み方、野球以外のことも含めて、しっかりやってほしいなと」。その期間はあえて声をかけずに、ただ見守った。

 陽生自身も「野球への思いが雑になってたというか。監督さんからの指導も素直に受け取れなかった」と率直な思いを振り返る。「その気持ちのままベンチに入ってたら、どんどんダメになっていたと思う。今思えば良かったなと」。自分と向き合う時間を過ごし、成長の跡を示した。

 「3年間、甲子園に行けなかったですし。その分、甲子園球場を駆け回る姿が見たいです」と米沢監督。たくさんの支えとエールを胸に、陽生が聖地のグラウンドで躍動する。

 ◆井坪 陽生(いつぼ・ひなせ)2005年3月17日生まれ、17歳。東京都出身。177センチ、86キロ。右投げ右打ち。外野手。関東第一から2022年度ドラフト3位で阪神から指名を受ける。関東第一では1年秋からベンチ入り。甲子園出場なし。高校通算32本塁打。好きな食べ物は伊勢エビ。

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