阪神・原口V撃 史上最大の下克上へCSファーストS突破 六回執念「ここしかない」

 CSファイナル進出を決め喜びを爆発させる阪神ナイン(撮影・棚橋慶太)
 6回、勝ち越しタイムリーを放つ原口(撮影・飯室逸平)
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 「セCSファーストS第3戦、DeNA2-3阪神」(10日、横浜スタジアム)

 ドラマは終わらない。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファーストS第3戦が行われ、阪神が逆転勝ちで2勝1敗とし、3年ぶりのファイナルS進出を決めた。1点を追う六回に近本光司外野手(27)が同点の適時二塁打を放つと、原口文仁内野手(30)が左前に決勝適時打。リーグ覇者のヤクルトに挑む12日からのファイナルSを制し、甲子園に戻ってくる。

 “青の壁”を不屈の魂で突破した。完全アウェーの中、原口が逆境をはね返した。通算16打席目。とっておきのチャンスで飛び出したCS初安打が値千金の決勝打だ。チーム一丸でもぎ取った白星に、いつもは冷静沈着な男の口調が熱くなった。

 「少ないチャンスで『ここしかない』と思いましたし、全員で何とかしようというイニングだったので。自分はヒット一本も出てなかったんですけど、いい集中力で打席に立てたかなと思う。一本打てて良かったです」

 六回、ナインの思いが結集した。北條、近本の連続二塁打で同点。続く大山はバントで送れず、原口は集中力を研ぎ澄ましていた。フルカウントからの6球目、2番手・入江の154キロをコンパクトに左前へ運び、二走・近本をホームへと招き入れた。

 去りゆく将の執念がナインに届いていた。この回、矢野監督は大山だけでなく、近本にもバントを指示。結果的に作戦は失敗となったが、ベンチに一体感が生まれていた。

 「主軸2人にそういうサインが出て、何とかつなぐという思いが出ていたので、結果どうこうじゃなく、そういう姿勢がチームの勢いになったと思う」

 秋男・原口にとっても大きな一打だ。9、10月は打率・375と奮闘。「5番・一塁」に定着し、チームに欠かせない存在となった。CSファーストS前の練習期間はシーズン中と同様、ゴロや捕球練習など一塁の特守に励み、鳴尾浜での2軍練習試合にも志願参加した。本番ではなかなか結果が出なかったが、事前の準備は万端。勝負根性もさび付いていなかった。

 「いやもう、原口は執念の男なんでね。ああいうところでやってくれると思ってましたし、期待通り、打ってくれましたね」

 矢野監督は目を真っ赤に充血させて最敬礼だ。12日から神宮で王者・ヤクルトとのファイナルSに臨む。原口は「勝たないと先がないのは全員が分かっている」と力を込める。過去、勝率5割未満で日本一に輝いたチームはない。史上最大の下克上へ、虎が挑む。

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