【新コーチに聞く・藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ】阪神・佐藤輝はスーパースターになる
今回の「新コーチに聞く」は藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(59)が2回にわたって登場する。これまで指導者としてオリックスでは吉田正、ソフトバンクでは柳田ら球界を代表する強打者を育成した。17年ぶりのリーグ優勝を目指す来季。さらなる飛躍が求められる佐藤輝に本塁打40本を求め、スーパースターへの道を歩むことを期待した。
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-秋季練習での指導を振り返って。
「初日はどんな感じかなと見させてもらって、まだまだうまく体を使えていないかなというところを感じました。『それぞれ体に合った動きがある』という感じで、4スタンスの話から各選手のタイプ、動ける動き方みたいなものをやっていけた。あとは選手が一番感じてもらわないと困る。この先も一緒に話をしながら、いいものを出していきたい」
-佐藤輝の打撃フォームはどのような状態だった?
「軸と呼ばれるところがあるけど、その軸っていうところが、ずれているというところ。簡単に言えば」
-よくなってきた部分は。
「軸をちゃんと使える状態にできた。その軸を作るポジションが、前なのか後ろなのかっていうので、重心の位置に関わってくる」
-佐藤輝自身は、いい感覚があると話していた。打撃を見ても変わったのか。
「もちろん違うとは思います。春先にテレビでしか見てないけど、すごい飛ばすなあっていう映像を見ていた。その状態と、指導初日に見た状態っていうのは、やっぱり違ったんで。その部分を思い出させてあげる。『こんな感じで打ってたん違う?』って。本人が『あ、こんな感じで打っていました』っていうところだと思うので」
-自分の軸を覚えることによって、フォームは修正しやすくなる?
「自分のタイプが分かっていると、修正方法というのは悩まずに済むかなと思います」
-好不調の波も少なくできる?
「そうですね。いらんことをしない。調子が悪くなるといろんなことをすると思う。そうすると自分のタイプではない動きまで取り入れてみようとか。それは俺の中では違う答えなので。そこを違うことではなくて、自分に合った動きの中で修正していく、調整していくということができるんで。その分、遠回りしなくても済むようになるのかなっていうところがある」
-佐藤輝は迷わなければ成績向上にもつながる?
「つながってくると思います」
-ソフトバンク・柳田も1軍で試合に出始めた頃は打率2割台だった。佐藤輝も4スタンスを取り入れれば、打率3割の可能性もある?
「飛ばす能力とか、コンタクトする能力はシーズンを見ていたらあると思います。スーパースターになる選手。そういう星の下に生まれている選手だと思います」
-佐藤輝は今季24本塁打。来シーズンはどれくらいいけそうか。
「ホームランバッターであるのなら、目標は最低30本からになる。それでプラスアルファという選手になってほしい」
-30本塁打以上打つ素質は十分?
「あれだけ飛ばせて、スイングの速さを見ていると、30、40本というのはみんなも期待するし、本人も期待するだろうし。数字を決めるというよりも、自分のスイングができればちゃんとボールは飛んでいく。答えは打球が知っているよというような感じで。普通の彼のスイングができたらホームランというのは普通の話だから、それをいかに自分のスイングで400打席ぐらいの中でできるかどうか」
-佐藤輝の長打力と打率の両立というのは可能?
「反対方向にしっかりボールが飛んでいくので、そういう意味では打率も残せるのではないかなと思います。自分はプルヒッターで引っ張りしかできなかったので、打率は残らなかった。それができると、反対方向にも本塁打が出る」
-ソフトバンク・柳田やオリックス・吉田正とも共通するものがある?
「そうですね。あと期待したいのは、クリーンアップ打つ人というのは変な話、10(打数)の2(安打)でもいい。だけど、ここぞという時に一本打ってほしい。そんなクリーンアップというかね。佐藤輝もそうだし、大山もそうだし、チャンスで一本打てる打者になってくれたら」
◆藤井 康雄(ふじい・やすお)1962年7月7日生まれ、59歳。広島県出身。現役時代は右投げ左打ちの外野手・一塁手。泉州からプリンスホテルを経て、86年度ドラフト4位で阪急(現オリックス)入団。ベストナイン2回(89・93年)。通算成績は1641試合出場で1207安打、282本塁打、861打点、打率・252。2002年現役引退後はオリックス、ソフトバンクで打撃コーチを務めた。