【岡田彰布氏の眼】阪神は開幕オーダーに戻すべきだったのでは 外国人3人中軸に疑問
「阪神5-8中日」(8月31日、甲子園球場)
阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏が、甲子園で行われた阪神-中日戦で本紙の解説を務めた。外国人3人をクリーンアップに並べたオーダーの“弊害”を指摘しつつ、開幕オーダーが理想と分析。さらにペナントレースも終盤を迎えた中で、七回の継投も勝敗を分けたポイントに挙げた。
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正直、この敗戦はめちゃくちゃ痛い。一つは外国人選手3人をクリーンアップに並べたオーダーだ。これは下位チームが何としてでも巻き返すためにやることであって、阪神はまだ2桁の貯金がある。首位から落ちたとは言え、まだ差はない。本拠地の甲子園に戻って仕切り直しとなる一戦は、開幕オーダーで戦うべきだったのではないだろうか。
まずこのチームはどうやって勝ってきたのか-。最も貯金を積み上げたのは開幕のメンバーだったはずだ。全体のバランスや守備力も含めて考えれば、マルテがいて、サンズがいて、大山、佐藤輝が並ぶのが理想だろう。
だからマルテが1軍に戻り、1カ月半ぶりに甲子園へ戻ってきたタイミングで最も勝っていたオーダーに戻せば、チームに仕切り直しの意識を持たせることができた。逆に新たに外国人3人を中軸に置いて負けてしまうと、ものすごくダメージが残る。ベンチが慌てているように映るし、切羽詰まった印象すら受けてしまう。
そして大山と佐藤輝はこの日、ともに代打の1打席で三振に終わった。これでは復調のきっかけはつかめないし、またスタメンに戻すタイミングが非常に難しくなってしまう。チームとして残り43試合、どう戦っていくかが不透明になってしまうように感じる。
またもう一つのポイントとなったのは継投だ。同点で終盤を迎えた中で、岩崎、スアレスを使わずに負けた。ゲーム展開を見れば5点差を追いついただけに、引き分けでOKの試合。出し惜しみせず、どう無失点で残り3イニングを乗り切るかを勘案すると、1番から始まる七回は及川ではなく岩崎を投入すべきだったと考える。
中日打線は1番から左が並び、右は4番・ビシエドだけ。ここで力のある岩崎を投入して上位の左3枚を切れれば、失点のリスクは減らせたはずだ。
起用した及川はここ数試合、不安定な投球内容が続いていた。まだ高卒2年目。疲労からボールの強さが落ちるのは仕方ない。臨機応変に七回を岩崎に任せ、打順が下位に向かっていく八回をリリーフ総動員で抑える方がゼロに抑える確率は高かったと言える。
またマルテに代わってアルカンタラを抹消したことで、救援陣のテコ入れも容易ではなくなった。ガンケルが先発するケースなどチーム状況を考えれば、やはり野手2枚がベスト。これらのことを含めて考えても、開幕オーダーに戻すべきタイミングだったのではないだろうか。