阪神・西勇「打者とは勝負してない」理由 プレートの一塁側を踏むわけとは…

 デイリースポーツ評論家の中田良弘氏(61)が開幕投手大本命の阪神・西勇輝投手(30)を直撃した。プロ入り3年目から先発ローテーションを10年間守ってきた裏にあった秘密とは、トレードマークのマウンドで見せる笑顔の理由とは…。西勇が持つ独特のこだわりを、思う存分に語ってもらった。

  ◇  ◇

 中田良弘氏(以下、中田)「西は阪神の投手陣の中で年齢が上の方になったよね」

 西勇輝投手(以下、西)「チェンさんがいて、日本人では僕が上ですね」

 中田「そういう立場だけどどんどん後輩が出てきてほしいよね」

 西「そうですね。僕の練習をまねするのではなくて、自分の意志をしっかり持ってくれれば、おのずと結果は出ると思いますよ。周りに流されないで自分のことをしっかりやるのが大事ですね」

 中田「阪神で2年やったけどパ・リーグとセ・リーグは違う?」

 西「う~ん。そこは変えようと思ってやっている部分はないので。わざわざパ・リーグで10年間やってきたことをセ・リーグで変える必要はないですから。自分のプレースタイルが壁にぶつかるまで変えません。今はパ・リーグで培ってきたものを継続してやっていきます」

 中田「両リーグの打者は違う?」

 西「打者とは僕、勝負していないんです。梅野や坂本のミットを見て投げるだけなので。打者を見てしまうと変な力みとか、不安だったりとか、違うものが見えてしまう。それは僕の野球じゃないなと。(対戦は)ピッチングの延長線だと思っているので。キャッチャーの構えたところに投げるだけです」

 中田「巨人戦の成績はいいけど、やっぱり特別に感じるかな」

 西「去年引退した球児さんが会見で『伝統は大事なものがある』と。その話を聞いて自分の中では、それまで外様だったので生え抜きの気持ちはよくわからなかったけど、誰かが引き継がないといけないなと。あの熱い言葉を聞いたら奮い立つ部分はありますね」

 中田「チームは巨人に負け越しているからね。優勝にも手が届かなかったし」

 西「全体的にみんな気持ちが弱かったので。気持ちを強くしてやっていければいいのではないかと思います。ただ僕一人だけではダメなので、全員が団結してやっていければ」

 中田「話は変わるけど、個人的に西のフォームで気になっていることがあって。ステップする時にちょっとオープンになるよね」

 西「あれはつま先を基準にしたらオープンになるんですけど、実はかかとを中心にしたら真っすぐなんですよ。なので僕は真っすぐと捉えています。足はそのままで上半身は斜めに行く感じですかね。やさしい『くの字』の使い方ですかね。あまり(他の)人には理解できないことですが。その方が内側に力が入って長くボールを持てる、間ができる。マイナス要素がないんです」

 中田「両サイドが大きく使えているように見えるよね」

 西「それが僕が思い描いていたことなので、そういうふうに見えるのはうれしいです。幻惑じゃないけど、打者は目で見て打つので、どう自分がワイドに使えるかが生きる道だと思っています。それが僕が2年目からできていることだと思っています」

 中田「あれだけ内と外を使う投手って西ぐらいじゃないかな」

 西「去年だったら広島の九里亜蓮。結構自分に似てきたなと思います、データを見ていると。クロスにアウトコースに放るというのが、昔からある投げ方。人がやったことのない投げ方が生きる道じゃないけど、仕事ならば人と違うことをやって、それで特化できたらずっと(地位を)守れることができる。僕はパイオニアになりたいと思っているので」

 中田「あとプレートの踏み方だけど、昔は三塁側でアウトローに投げ込むのが普通だった。西は一塁側だよね」

 西「僕がそれを始めた時(プロ1年目の夏ごろ)は(一塁側を踏む投手は)いなかったですね。始めたのは、打者も見える世界が違ったら打ちづらいだろうなと思って」

 中田「確かに打者は投手の見え方が変わればあれって思うよね」

 西「それを使ったんです。スピードが速くない分、工夫しないといけないので。そこら辺は考えてやっていましたね」

 中田「投手も景色が変わるよね」

 西「僕も世界が変わりましたね。これやと思いましたね」

 中田「試してみるもんだね」

 西「昔、コーチに『三塁側に戻せ』と言われたんです。だけど僕はかたくなに拒みましたよ。成功するのも失敗するのも自分次第なので。後輩たちにはそれを言いたいなと思います。信念を持っていれば成功すると」

 中田「今年阪神3年目だけど、変わらないスタイルで臨む」

 西「そうですね。ぶれることなくやっていきたいと思います」

 中田「目標は?」

 西「10年ローテーションを続けてきているので、11年続けることですかね。何十年もローテーションを続ける人ってあまりプロ野球でもいないと思うので、僕が野球を辞めるまでローテーションを続けたいなと思っています」

 中田「簡単に言うけどそれって大変なことだよね。ぜひ目標に向かって頑張ってください。期待しています」

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