阪神・近本が力を注ぐ背後の打球処理 弱点克服で大島を超えろ!

 独自の視点からプレーの深層に迫る虎目線-。プロ2年目の今季は中堅のレギュラーとして期待される近本光司外野手(25)。飛躍を遂げようとしているのは、バッティングだけではなかった。昨年の秋季キャンプから徹底的に取り組んできたのは、背後に飛んできた飛球への対応。昨年、ゴールデングラブ賞を獲得した中日・大島とは大きな差があり、そこを埋めるべく、守備力強化に力を注いでいる。

  ◇  ◇

 右翼から左翼へ強烈な浜風が吹いたこの日の甲子園。全体練習で近本は、後方への飛球を懸命に追っていた。スタンドから見るその姿は、ルーキーイヤーの昨年とは明らかに違っていた。

 昨季は背後の飛球に対して、やや回り込むような形でラインに入っていたが、今はスタートを切った直後から飛球のラインに入り、スムーズに追っている。コンマ数秒のロスがなくなり、今まで追いつけていなかった飛球に対しても対応できていた。簡潔に“守備範囲が広くなった”と言えるが、筒井外野守備走塁コーチは理由をこう明かす。

 筒井コーチ「後ろの打球というのは去年の秋から強化してきた部分ですので。横の打球よりも、前後の打球に重点を置いてやってきた。だいぶ良くなっていると思います」

 昨年の秋季キャンプから取り組んできた練習法がある。筒井コーチが二塁ベース付近でノックバットを持ち、センター後方に低く、鋭い球を打つ。近本はバットに当たった瞬間に落下地点を即座に判断し、一直線にスタートを切っていく。今年の春季キャンプでは、室内で筒井コーチが投げるボールを背走してキャッチするシーンもあった。そこにはある狙いがあったという。

 筒井コーチ「打球に対して一直線に、というような頭で考えるよりも、とにかく体に染みこませようと。だから自由に動かせて、それを体で覚えさせる」

 一般的には、すぐ飛球のラインに入れ、一直線に追えという助言を基に、練習の打球を追う。そうではなく、打球を見てベストな追い方を見つけていく。特に本拠地の甲子園は外野上空を不規則な風が舞っている。その練習法で近本が得たのは追い方の“柔軟性”だ。

 近本「打球に対して一直線にというよりは、今日も風が強かったので、追い方を考えながら。それはキャンプからずっとやってきたことなので」

 そもそもなぜ、後方の飛球処理に力を注いできたのか。あるデータが残っている。近本と、昨季2年連続7度目のゴールデングラブ賞を獲得した中日・大島との飛球処理位置を比較すると、明らかに大島の方が後方の飛球を処理している。一方、昨年の近本は前方の飛球には強いが、後方の飛球処理数が明らかに少なかった。

 その弱点をオフの間に克服しようとしてきた背番号5。筒井コーチは「大島を超えられるようになってほしい」と願う。広い甲子園で外野の守備力はもっと重要視されていい部分。近本の成長した姿が、優勝への大きなファクターになるかもしれない。(データは共同通信デジタル)

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