阪神の近本光司外野手（２５）が来季に備えて、タイ・カッブ型のバットを導入することが２０日、分かった。グリップエンドが従来のものより太い円すい形で、重心が手元に近くなることで操作がしやすくなる。今季１５９安打を放ち、セ・リーグ新人最多安打記録を樹立した猛虎のヒットマンが、さらなる安打量産と出塁率アップへ新たな相棒で挑む。

　刀を手にする侍の如く、来季をにらむ姿から勝負師の顔がのぞく。１５９安打を放ってセ・リーグ新人最多安打記録を打ち立てても満足の域ではない。この日、所用で甲子園のクラブハウスを訪れた近本が手にしていた新武器。「バットをちょっと変えたいなって」。さらなる安打量産と出塁率アップへ－。近本にバットを提供するヤナセから届けられたタイ・カッブ型で進化を図る。

　明確な意図がある。「どうせ短く持つから、ちょっとタイ・カッブにしてもいいかなと」。今季は状況に応じて、指２本分短く持つなどしてきた。「（重さは）変えてないです。練習用は９００グラムで、（試合用は）８９０グラムくらいだったと思います」。重量を変えず、形状に工夫を施す。

　通常タイプよりグリップエンドが太い円すい形のタイ・カッブ型。今季出塁率・３１３からの上昇を図るべく、重心が手元に近く操作性に優れた“新兵器”で確実性を求める。

　落ち着いた物言いから高い向上心がうかがえる。「（今季は）あまり結果が出たとは思っていないので。まだまだやれることがいっぱいある」。工夫次第で伸びしろは増えていくと自覚している。

　少しずつ、確実に手になじませていく。２１日からは鳴尾浜での強化指定練習に参加する。「（バットを）１本変えたので、どういう感覚になるのかなと思っているので確認はしたい」。午前中はランニングやウエートで肉体強化。午後からの個人練習ではタイ・カッブ型のバットを振り込み、感触を確かなものにしていく。

　飽くなき探究心こそが強みとなる。１９日に秋季キャンプを打ち上げた翌日に届いた新バット。「来年どういうバッターになるのがいいのか」。追い求める理想像へ歩みを止めない。