矢野阪神“情けねえ”19歳中日・山本を見習え!今季4人目のプロ初星献上
「阪神2-3中日」(31日、甲子園球場)
またもプロ初勝利を献上してしまった。阪神は中日先発・山本の前に三回までパーフェクトに封じられるなど、6回4安打1点に抑え込まれた。2番手の福から1点を奪って追い上げたが、そこまで。清水ヘッドコーチは、四回の打席で12球粘って三振に倒れた19歳山本の姿勢を虎打線に求めた。
劇的な逆転サヨナラ勝ちの勢いは消えていた。九回2死二、三塁で一打サヨナラの場面こそ作ったが、淡々と見えてしまう展開のまま、中日先発・山本にプロ初勝利を献上。プロ2年目、甲子園にも近い宝塚市出身で小学生のころには阪神のファンクラブにも入っていたという19歳右腕に、矢野監督も脱帽するしかなかった。
「投げっぷりがいいというかね。度胸がいいというか、そういう感じに見えた。ちょっとウチが打てなかった」
低迷が続く阪神が、目指すべき姿なのかもしれない。山本は兵庫県内屈指の進学校、市立西宮高から17年度ドラフト6位で入団。野球エリートとは言えないキャリアだけではなく、身長167センチはプロでは小柄だ。
ハンディをはね返し、プロ通算3試合目となる登板をつかんだ。このチャンスは逃すまいと、体を目いっぱい使って、腕を振ってきた。
三回までは一人も走者を出せなかった。中盤以降は、ピンチを抑えるたびに素直に感情を表現。推定年俸550万円の右腕の気迫に、野手8人で推定年俸8億4500万円の阪神打線が押され、6回4安打1失点の好投を許した。
山本は打席でも貪欲だった。四回2死満塁で三振には倒れたものの、2球で追い込まれながらファウルで粘って青柳に12球を投げさせた。まさにハングリー精神の塊。清水ヘッドコーチは相手ながら、その姿に感心した。
「小さな体だけど、打席での姿勢とかを見ていると『打ってやるんだ』、投球でも『抑えてやるんだ』というのが前面に出ていた。そのあたりは、うちが見習わないといけないところだと思う」
これで今季は巨人・高橋、DeNA・大貫、中日・清水に続いて4人目のプロ初勝利献上となった。がむしゃらに勝利を目指す相手に苦しむ試合が目立っている。
1日は今季初登板初先発となる藤浪がマウンドに上がる。貪欲に勝利を目指す姿勢を見せてくれるはずだ。復活を期す右腕の勢いに乗って、打線も本来の姿を取り戻したい。