【藤原オーナーインタビュー(上)】感情を出せ 突き抜けろ そう思ってやってきた

 昨年12月に就任した阪神・藤原崇起オーナー(66)がこのほど、大阪市内の電鉄本社でデイリースポーツの取材に応じ、矢野燿大新監督(50)の方針に共感し、信頼を口にした。就任1年目からチームを全面的にバックアップし、最下位からの巻き返しを後押ししていくことを約束した。

  ◇  ◇

 -老舗球団のオーナーに就任し、環境の変化は。

 「まだリアルワークになっていませんので。4月までは結果が生まれない時期ですから。春になると、タイガースの伝統や注目を感じるようになるでしょうね」

 -今季は矢野監督も就任1年目。

 「矢野監督はタイガースで優勝して、選手、コーチ、ファームの監督も経験している。春までに何をしなければならないかということを考えて、準備していると思います」

 -17年ぶりの最下位に終わった昨年を振り返って。

 「選手はケガをしたり、実力を出せなかったりした中で、秋口は台風や雨もあって、非常に厳しいシーズンでした。接戦になったとはいえ、ポストシーズンまで戦い切れなかったということは、ファンの皆さまに申し訳なく思っています」

 -今季への思いは。

 「金本前監督が体力作りをして、皆さんに見ていただいても、われわれ素人が見ても、分かるように、体の大きさはがらっと変わってきたと思います。『じゃあ、もう一歩のところは何だ』ということになりますよね。その一つの答えが、ファームの日本一で、そういう強化が効いてきたから楽しみだと思います」

 -土台はできてきた。

 「けれども、1軍の試合で突き抜ける。その力は、まだ必要だと思います。矢野監督は納会で選手に5カ条(※注)があります、と伝えましたよね。ああいうことを通じて、その殻を破る。去年の成績から見て、選手は今まで以上に練習をしているでしょうから、加えてメンタルだと思うんです。これがやっぱり、ああいう5カ条という言葉で出て。素晴らしいと思いますよ」

 -矢野監督は選手に超積極的な姿勢を求めている。

 「一度失敗しても、『引きずらないで、もう一度やれ』と、常々伝えていますよね。昨年(のNHK大河ドラマで)、『西郷どん』が放送されていましたけど、登場人物の大久保利通が言う『次善の次善』と同じです。しかし、大久保の言葉にはもう一つの見方があって、これがあかんかったらこれ。それでもあかんかったらこれと周到な準備をしておく。執念深くやるんだという意味もありますよね。『次善の次善』が今シーズンにどう生かされてくるか、ですね」

 -気持ちの重要性を説くことも多い。

 「『感情をあらわにしろ』とも語っていますよね。これも私が考えると、有言実行ということだと思います。『悔しさをどうするんだ。今日できなかったことを、もう一度明日やりますよ』と。それを感情であらわにしてね。まさにみんなにコミットメントしている。コミットした以上はみんなでやろうと。こういうことかなと思っています。私は現場育ちですから、常々そう思ってやってきました。それと本当に近い」

 -昨年は優勝した広島が抜けたが、残りのチームとの差はあまり感じなかった。何かの拍子で最下位になってしまったように感じる。

 「その何かの拍子で落とさないのがプロですよね。最後のだんご状態で抜け出すのは、トーナメントと同じだと思います。そこはみんなの精神力、チームワークなのか。抜け出せる力を矢野監督も5カ条の中で作ろうということだと思います。根本にあるのは体力作りや、練習での立ち向かう姿勢。これは前監督が作ってくれたもの。それを発展させていかないといけない。その発展のところにどういうふうなものがあるかというのを、このオフにみんなに考えてほしい。(矢野監督は)そういう訴えをしていると思います」

 -それをシーズンでも継続できるかが鍵となるのでは。

 「もちろんそうです。それには準備ですよね。みんな分かっていると思います。今まで金本体制の3年間は汗を流し、涙を流したくなるぐらいの練習だったと思うんです。それが報われるようになろうと思うと、続けないといけないですよね。やっぱり継続は力なり。実現するまでやり通すと、これが精神力になってくる。そのためには自分の夢は何だということを、今一度考えていただきたいですね」

 -目標達成のために必要なこととは。

 「私はファームの春のキャンプで、『なぜ相撲でモンゴルの人たちは横綱になるのに、日本の大関になった人は上に上がれないのか』ということを話したことがあります。稀勢の里は上がりましたけど、外国から来た人は途中経過ではなく、自分の最終目標、これだけを見ているからじゃないか。日本の人たちは横綱候補と言われる時に、まずはきっちり大関を守らないといかんと。こう思っているんじゃないか、と話しました」

 (続けて)

 「守りに入ってしまうところに問題があって。だから、ファームの人には目標を高く持ってください、と。自分の目標でないところ(にたどり着いた)ならば、それは自分の一里塚になる。ここまで来ることはできたけど、先は長いと思ってやってもらった方がいいと思います。目標の置き方ですよね。どこに置くか。身近な場合は、それを守ることに窮してしまうので、やっぱり高めに置いてほしいですね。昨秋のキャンプでみんながシーズンを振り返ったはずです。そこらは期待したい。できると思います。突き抜けてもらいたいですね」

 ※注…矢野監督は昨年の球団納会のあいさつで、ファンを喜ばせるチームを作る上での「5カ条」として1チームの勝利、2勝利プラス1、3喜怒哀楽、4裏方への感謝、5球団とも一体となったチーム作り、を掲げた。

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