“4番”俊介決めた!虎延長死闘制す

 「広島0-1阪神」(8日、マツダ)

 阪神がベンチ入り野手全員出場の総力戦をモノにした。0‐0の延長十一回、無死一、三塁から途中出場の俊介外野手(25)が決勝の右前適時打を放った。自力Vの可能性消滅のピンチながら、2夜連続で踏みとどまった。9日からはナゴヤドームに乗り込む。まだまだ粘って、粘りまくれ!

 敗北は許されない。粘り、執念。どの言葉がふさわしいか。ベンチ入り野手をすべて使い切っての総力戦を挑み、遠く遠くかすんでいた本塁を、手繰り寄せた。

 決着は両チーム無得点の延長十一回。無死一、三塁と攻め立て、ここで七回に代走から出場の俊介が値千金の右前先制打。まさに虎の子の1点。これが決勝点となった。

 「最後の1人まで使ってしまったので、本当に執念というか…選手がそういう気持ちで最後までやってくれた結果じゃないかな」。熱戦を制した和田監督の言葉1つ1つに、興奮の色がにじむ。それほど苦しかった試合、取りたかった試合だ。

 序盤は広島先発・中村恭の見事な投球に苦戦を強いられた。初回1死二塁の好機を逃し、六回まで1安打に抑えられる。ようやく好機が巡ってきたのは、七回だった。

 四球と安打で無死一、二塁。ここで和田監督が勝負に出る。延長も考えられる展開で、二走の4番・マートンに代走・俊介。そして無死満塁後に代打・桧山を送った。だが、桧山が一塁への併殺打に倒れるなどで無得点に…。その後は4番を失っての攻撃。終盤の好機も得点につながらない。

 すべては勝負を懸けての結果。「七回に勝負を懸けてしまったので、後は守備固めみたいな布陣になってしまった」と話す和田監督。だが、その勝利への思いは、選手の粘りへつながる。

 先発・秋山以降、松田、筒井、安藤、久保、福原が相手打線に点を許さない。九回2死一、二塁では、菊池の左前打で二走・堂林が本塁を狙うが、途中出場の左翼・浅井が見事な本塁返球で刺した。そして、それが延長十一回での得点に結びつく。

 「マウンドに上がる投手がすべて役割を果たしてくれた。何とかという気持ちで打席の選手もいったけど、本当に、本当に遠かったね、ホームが」

 勝利の余韻ではない。フッと息を吐き出す姿に苦境を乗り切った実感がこもった。ただ、振り返っているいとまはない。

 首位・巨人との差は7・5のまま。9日以降も自力優勝消滅の危機にさらされる。「一戦必勝?それしかないね。ウチはウチの試合をして、離されないで下旬(27日)にもう1回、東京ドームへ行く。それだけ」。苦しみを越えた先にしか、喜びの瞬間は見えない。それを信じて、前進するだけだ。

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