どこからか鳴き声が……「テッペンにおるよ!」と、高さ40メートルのネット頂上に子猫 営業中で悩んでいたら、客が言ってくれたのは?
「猫がネットのテッペンにおるよ!」
そんな一報に、鳥取県米子市のゴルフ練習場「大山カントリー」のスタッフも、お客さんも驚きを隠せませんでした。
子猫がいたのは、なんと高さ約40メートルのゴルフ練習場の防球ネットの頂上。5時間以上も高所に取り残されていた子猫は、多くの人の協力によって無事救出されました。
Instagramに投稿された動画には、「高いところに登って降りれないは良く聞く話だけど、高すぎだろ!」「なんで逆に登れたの?」「ネットおろしてくださったんだ、優しい~!」といったコメントが相次ぎ、大きな話題となっています。
当時フロントに立っていたスタッフの方に、詳しいお話を伺いました。
■「耳鳴りかな?」と思っていた鳴き声 まさか40メートルの頂上だった
異変が始まったのは昼ごろでした。出勤してきた清掃スタッフが「今日出社してからずっと猫の声が聞こえるんだけど、どこにいるか全然わからない!」と話したそうです。スタッフも一緒に探しましたが姿は見えず、「屋根や建物の隙間かな」と話していたといいます。
ところが午後4時ごろ、近くに住む60代の女性が練習場まで駆けつけました。
「ネットに子猫がいるよ!」
女性によると、下校中だった小学生のお孫さんが鳴き声に気づき、ネットの一番上に子猫がいるのを発見したそうです。
スタッフは「あの頂上!?」と驚き、急いで確認。そこには、高さ約40メートルのネットの頂上で動けなくなった小さな子猫の姿がありました。
■「営業中だけど助けようや」 お客さんも救出を後押し
当時現場にいたスタッフは2人だけ。営業中だったため、勝手にネットを下ろすことはできず、17時に出社予定だった社長の到着を待つことになりました。
その間、近くにいた50~70代のお客さんたちと相談すると、こんな声が上がったといいます。
「営業中だけど、ネットおろして助けてあげるしか選択肢ないよね。ボール打つの止めるから助けようや」
スタッフも「絶対ほっとけれないよね!」と賛同。救出することが決まりました。
■「助けて」と叫ぶような鳴き声…営業を止め40分の救出作戦
社長が到着すると、すぐにネットを下ろす準備が始まりました。
フロントでは、「子猫がネット頂上へ上ってしまったようです。これから救出のためネットを下げさせていただきます」と場内アナウンスを実施。利用客も救出に協力しました。ネットを下ろす作業には約20分。
スタッフによると、その間、子猫は「助けてくれと言わんばかりの声」で鳴き続けていたそうです。
救出役を買って出たのは、猫を4匹飼っている営業マン。厚手のグローブを着け、優しく声を掛けながら子猫を抱き上げました。
ところが元気いっぱいだった子猫は、すぐに営業マンの指へガブリ。グローブを貫通するほど勢いよく噛まれ、出血したそうですが、営業マンは笑いながら、「これだけ元気で走り回れるし、歯もしっかり生えとる。生きていけるわ」と話していたといいます。
ネットを下ろしてから元に戻すまで約40分。こうして救出作戦は無事成功しました。
■生後約2カ月のハチワレ 近くに家族がいると考え見守る選択
救出されたのは、生後約2カ月とみられる白黒のハチワレの男の子。目立ったけがや衰弱はなく、抱き上げられた後も元気いっぱいに走り回っていました。
スタッフらは一度保護するかどうか話し合いましたが、歯もしっかり生え、自力で生活できること、近くに母猫やきょうだいがいる可能性も考慮し、敷地外へ逃がす判断をしました。
子猫は周囲の田んぼへ向かって鳴きながら走っていったそうです。
実は3年前にも、同じような白黒の子猫を女性スタッフが保護したことがあり、「もしかしたら同じ親猫かもしれないですね」と話題になったといいます。
■「猫の恩返しかも」 その後も続く小さな訪問者たち
救出劇の後も、不思議な出来事が続いているそうです。夜になるとフロント付近を猫が歩いていたり、鳴き声が聞こえたりすることが増え、最近は別の子猫が倉庫で見つかったこともありました。
保護しようとしたものの見失ってしまったそうですが、スタッフの間では「猫の恩返しかも」と話しているのだとか。
一方で、「野良猫が増えてしまうのでは」という意見もあり、複雑な思いも抱えているといいます。それでも今回の救出劇では、小学生の発見、近隣住民の知らせ、お客さんの後押し、スタッフや社長の迅速な対応がつながり、小さな命は救われました。
投稿には、「びっくりでしたね。無事に救出できて良かった」「どうやって登ったのか子猫に聞いてみたい」といった声が今も寄せられています。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
