「世の中で一番嫌い」顔を合わせば、本気で噛み合う保護犬2匹 “怖い”ものの前では、態度がガラリ…人間だけじゃない「敵の敵は味方」
「世の中で一番嫌いなのは同居犬」…そう言えるほど険悪だった2匹のヨークシャーテリア。しかし、ある“先生”と出会ったことで、その関係に驚きの変化が訪れました。
Instagramで話題になっているのは、「犬と人の学校NOLE(ノーレ)」の田中剛祐代表が投稿した動画です。
動画には、顔を合わせるたび本気で噛み合うほど仲が悪くなってしまった2匹のヨークシャーテリアが登場。ところが、アメリカンボクサーの「パワ子」ちゃんが現れると、互いに寄り添うような姿を見せ、多くの人を驚かせました。
投稿には、「先生に見つめられるだけで、仲良しになるなんてすごい」「命の危機を感じると、本能的に寄り添うんですね」「恐るべしパワ子先生」といったコメントが寄せられています。
今回、「犬と人の学校NOLE」田中代表と飼い主さんに、詳しいお話をうかがいました。
■元繁殖犬だった2匹 本気のケンカが始まった理由
動画に登場するのは、どちらも繁殖引退犬として保護されたヨークシャーテリアの女の子です。
Tomoちゃんは、推定5歳で迎えられた保護犬。保護当時は「ガリガリ、ハゲハゲ、ボロボロ」の状態だったといいます。怖がりですが甘えん坊で、自分のペースを大切にする性格。人は好きでも犬は苦手で、くつろいでいるときに後ろから近づかれると威嚇してしまうことがありました。
一方、Lanaちゃんは8歳。こちらも繁殖引退犬で、迎えたときはかなり痩せていました。「空気が読めないギャング」と飼い主さんが表現するほど活発で、怖がりで甘えん坊、やきもち焼きな性格です。
もともと仲が良いわけではありませんでしたが、大きなケンカはなかったそうです。ところが2026年のお正月、本気で噛み合う大ゲンカが発生しました。
「おそらく、TomoがくつろいでいるところへLanaが後ろから近づいたことがきっかけではないかと思います。それ以来、お互いが相手を怖がるようになり、顔を合わせるたび本気で噛み合うようになってしまいました」
深刻な状況となり、飼い主さんはInstagramで「犬と人の学校NOLE」を見つけ、相談することにしました。
■“怪獣”パワ子先生が教えたこと
動画で存在感を放っているのが、アメリカンボクサーの「パワ子」ちゃんです。
「まず犬たちを落ち着かせるトレーニングを行った後、2匹をパワ子に引き合わせました。そうすると『こんな些細なことでいがみ合っている場合ではない』と認識するようになります」
田中代表は、その仕組みをこう例えます。
「『敵の敵は味方』というのは、犬の世界にも通じます。同じクラスで仲の悪かった子どもたちが、クラス対抗戦になった途端に協力するようなイメージですね」
動画では、パワ子ちゃんの前で自然と寄り添う2匹の姿が映し出されており、多くの人が驚きました。
■犬だけではなく、人も学ぶ「犬と人の学校」
「犬と人の学校NOLE」という名前には、「NO DOG NO LIFE(犬のいない人生なんて考えられない)」という思いが込められています。
田中代表は「犬を預ければ終わりではなく、飼い主さんも一緒に学ぶことで、問題行動の改善や理想のドッグライフを実現したいという願いから、この名前を付けました」と話します。そのため、NOLEでは犬だけをトレーニングするのではなく、飼い主にも必ず宿題が出されます。
宿題の内容は家庭環境や飼育状況によって異なり、「これさえやれば大丈夫」という共通の方法はありません。それぞれの家庭に合った取り組みを続けることで、犬同士や飼い主との関係改善を目指していくそうです。
■「否定されなかった」飼い主が感じた安心感
飼い主さんがNOLEに信頼を寄せた理由は、トレーニングの技術だけではありませんでした。
「留守番が15時間ほどになる日もあり、それをずっと申し訳なく思っていました。でも、そのことを話したとき、批判されたり『改善してください』と言われたりすることはありませんでした。『それは仕方がない。その環境の中でやっていけばいい』と言っていただけたんです。寄り添っていただけたことが、本当にありがたかったです」
その後、自宅でも宿題を続けた結果、7月21日に撮影された写真には、以前は本気で噛み合っていた2匹が、穏やかに並んで座る姿が写っていました。
■「相性だから仕方ない」とあきらめないで
田中代表は、同居犬同士のケンカについて「相性だから仕方ない」と、あきらめる必要はないと話します。
「同居犬の争いは相性だと思われがちですが、教育によって変わるケースがあります。小さなケンカでも、そのままにすると将来的に深刻な問題へ発展することもあります」
悩んでいる飼い主さんには、早めに犬の行動をしっかり見られる専門家へ相談してほしいと呼びかけます。そして最後に、全国の飼い主さんへ、こんなメッセージを送りました。
「犬をぬいぐるみのように扱うのではなく、大切なパートナーとして接することを心がけてもらえれば、犬との関係性はより良いものになっていくと思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
