50代パート女性 「ねんきん定期便」に未納の文字 独り身の老後が不安 知っておきたい免除制度と厚生年金加入【社会福祉士が解説】

50代、パート勤務の浜田さん(仮名)は、80代の母親の介護を理由に、長年勤めた正社員の仕事を辞めました。現在は実家で日々の介護に追われながら、週に数日だけパートとして働いています。

自分のことは常に後回しの生活を送っていましたが、ふと届いた「ねんきん定期便」を見て血の気が引きました。そこには、国民年金保険料の「未納」の文字が並んでいたからです。

「年を取って働けなくなったとき、独り身の私の老後は一体どうなってしまうの?」--今は母親を支える立場ですが、将来、自分を支えてくれる配偶者や子どもはいません。浜田さんは、自分の老後への大きな不安に押しつぶされそうになりました。

■まずは「ねんきんネット」「ねんきんダイヤル」と年金事務所で現状を把握する

親の介護に直面すると、どうしても目の前のことで頭がいっぱいになり、自分自身の年金手続きや将来の備えは後回しになりがちです。

しかし、年金保険料の「未納」を放置するのは非常に危険な状態です。将来受け取れる老齢基礎年金が減ってしまうだけでなく、万が一、自分が病気やケガで障害を負った際、障害基礎年金を受け取れない場合があるからです。障害基礎年金は、初診日の前日に、一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。免除期間は納付要件の確認に含まれますが、未納期間は含まれません。

漠然とした不安を解消するためには、まず現在の年金記録を確認することが必要です。スマートフォンやパソコンから日本年金機構の「ねんきんネット」を確認するか、「ねんきんダイヤル」へ電話してみましょう。必要に応じて、近くの年金事務所で相談する方法もあります。専門の担当者が個々の年金記録に基づき、正確なアドバイスを提供してくれます。

未納期間がどれくらいあるのか、このままいくと将来いくら受け取れそうかを確認することが、対策の第一歩となります。

■未納放置はNG!国民年金保険料の免除を活用

現状を把握し「今は収入が減ってしまって、毎月の保険料を払えない」と分かったら、そのまま放置せずに「国民年金保険料の免除制度」の申請を検討しましょう。

免除制度は、本人・世帯主・配偶者の前年の所得が一定基準以下の場合や失業した場合などに、住んでいる地域を管轄する年金事務所、または市区町村の国民年金窓口へ申請することで、保険料の全額または一部(4分の3、半額、4分の1)の納付が免除される公的な救済制度です。

未納と免除では、将来の年金額への扱いが変わります。例えば全額免除が承認された期間は、国庫負担分が充当されるため、未納と違って将来の年金額には一定割合(全額免除なら2分の1)が反映されます。また、将来的に家計に余裕ができた際には、過去10年間にさかのぼって保険料を納める「追納」という制度を利用して、年金受給額を元の満額に近づけることも可能です。

■働き方の見直しで「厚生年金」への加入を目指す

公的年金の基盤を守る手続きができたら、次に目を向けたいのが、パート先での厚生年金への加入です。

近年、短時間労働者への社会保険の適用拡大が進められています。2024年10月からは従業員数51人以上の企業へと対象が広がりました。「週の所定労働時間が20時間以上」「月額賃金が8万8000円以上」「2カ月を超えて雇用される見込みがあること」といった一定の要件を満たす場合、パートやアルバイトでも原則として厚生年金や健康保険の加入対象になります。

厚生年金に加入できれば、将来受け取れる年金は老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされる2階建て構造になり、老後の受給額を確実に増やすことができます。さらに、健康保険料や厚生年金保険料は勤務先と折半になるため、自己負担を抑えながら保障を厚くすることにもつながります。

現在の働き方で加入対象になるのか、また加入対象となる勤務条件に変更できるのか、勤務先の担当者に確認してみましょう。

加えて、介護負担が重く、就労の継続や生活そのものに限界を感じている場合は、担当のケアマネジャーに相談して介護サービスの調整を検討する方法もあります。お住まいの市区町村に設置されている地域包括支援センターで、生活全般の課題や経済的不安について相談することで、介護以外の具体的な支援策やヒントが見つかる場合があります。

   ◇   ◇

浜田さんは現状を確認した後、すぐに年金事務所で免除申請を行いました。さらにパート先へ相談して労働時間を調整し、厚生年金にも加入できる働き方へ見直しました。老後への不安がすぐに消えるわけではありません。それでも、未納のまま放置せず、今から取れる手続きを知ることは、将来を考えるための第一歩になります。介護中は自分のことが後回しになりがちだからこそ、まずは年金記録を確認し、年金事務所や勤務先に相談することが大切です。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)

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