本社勤務のはずが店舗勤務 新卒入社のアパレル企業で配属ガチャ 希望しない仕事への配置転換は従うべきですか【弁護士が解説】

Aさん(22)はこの春、大学を卒業してアパレル企業に新卒入社しました。「本社勤務」の職種で入社したのですが、入社後の研修が終わったゴールデンウィーク明け、突然店舗勤務への配属を命じられます。

Aさんが戸惑いを伝えると、会社からは「本社社員でもまず店舗を経験するのが当社の流れで、期間は未定である」と説明されました。たしかに労働条件通知書には、「業務内容および就業場所は会社の定めるところにより変更することがある」と記載されていましたが、これはAさんが想像していた働く環境とは大きく異なるものです。

Aさんは「新人だから仕方ないのか」と思いつつも、「希望していない仕事でも従わなければならないのか」と疑問を抱きます。このように、会社が新入社員に対して希望していない部署や業務へ短期間で配置換えすることは、法律上問題ないのでしょうか。Authense法律事務所の有元覇人さんに話を聞きました。

■配転命令が無効と判断される可能性は低いけれど…

ー入社直後に別の部署や業務へ配属することは、法律上問題ないのでしょうか。

長期雇用の労働契約関係においては、会社側に人事権の一内容として労働者の職務内容や勤務地を決定する権限(以下、「配転命令権」)が認められるのが一般的です。

一方で、契約上そのよう配置命令権が認められない場合や、業務上の必要性に比べて労働者の不利益が大きく配転命令権の濫用に該当する場合には、配転命令が無効となります。

Aさんのケースですと、労働条件通知書に業務内容及び就業場所が変更される場合があると明記されており、配転命令権が認められる可能性が高いことから、配転命令権の濫用に該当しない限り、配転命令が無効と判断される可能性は低いと考えます。

ー労働条件通知書に「業務内容や勤務地を変更する可能性がある」と書かれている場合、会社は自由に配置転換できるのでしょうか。

労働条件通知書に「業務内容や勤務地を変更する可能性がある」と書かれていることは、会社の配転命令権を肯定する1つの事情になります。しかし、上記のとおり、当該配転命令が配転命令権の濫用に該当する場合には無効となりますので、会社が自由に配置転換できるわけではありません。

ーどのようなケースで「配置転換が違法」と判断される可能性があるのでしょうか。

事案によって具体的事情が異なるのでケースを明言することは難しいですが、判例では、配置転換が無効と判断される可能性があるケースとして、いくつかの傾向が示されています。

たとえば、労働契約上職種や勤務場所が限定されているにもかかわらず、それを大きく逸脱した配置転換がおこなわれた場合です。また、労働者を退職に導く意図や報復的目的など、業務上の必要性とは関係のない目的で行われた場合も問題となります。さらに、介護や病気などの事情を抱えている労働者への配置転換や給料が大幅に下がる配転命令などは労働者の不利益が大きいため配転命令が無効と判断される可能性が高まる傾向にあります。

実際にどのような配置命令が無効と判断されるかは、具体的事情に左右されます。ただし、その判断には専門的知識が必要となるため、困ったときは弁護士や専門家に相談してみてください。

◆有元覇人(ありもと・はると) 弁護士/Authense法律事務所

法務アウトソースサービス「法務クラウド」に携わり、迅速かつ丁寧な対応を心がけている。また、エンタメ・スポーツ法務や労働問題など幅広い分野に精通。依頼者のニーズを正確に捉え、安心と信頼を届けることを重視。また、持ち前の粘り強さで、常に質とスピードの両立を追求している。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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