【世界6カ国調査】日本の子どもは算数の悩みが少ない傾向も…家庭の社会経済的背景が勉強への課題感に影響
公益財団法人スプリックス教育財団(東京都渋谷区)は、基礎学力に対する意識の現状を把握することを目的に、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」を実施しました。それによると、算数の勉強に悩む子どもは日本のほうが少ない傾向にあるものの、家庭の社会経済的背景が算数の勉強への課題感に影響している可能性が示されました。
調査は、パネル調査がアメリカ、イギリス、フランス、中国、南アフリカの小学4年生1500組、学校調査が日本の小学4年生約200組を対象として、2025年4月~7月に実施されました。
なお、日本の回答者はランダム抽出ではなく、匿名性保持のため正確な人数は公表していません。
算数の勉強で抱える課題について、「暗記量:覚えなければいけないことが多すぎる」「解決法:わからない点を解消する方法がわからない」「勉強法:上手な勉強の方法がわからない」「目的:何のために勉強しているのかわからない」「基礎:すでに習ったことの理解が不十分であり、基礎が固まっていない」の5つの設問に「はい」と答えた割合を見ると、世界5カ国では「覚えなければいけないことが多すぎる」(48.9%)、「わからない点を解消する方法がわからない」(34.8%)、「上手な勉強の方法がわからない」(34.4%)が上位となり、暗記量の負担感や不明点の解決法、勉強法に課題が特に大きいと感じていることがわかりました。
一方の日本は肯定率が世界5カ国と比べて小さく、算数の勉強に悩む子どもは日本のほうが少ない傾向が見られました。特に「何のために勉強しているのかわからない」といった目的の不明瞭さを抱える小学生はわずか6.2%で、多くの日本の小学生が勉強の目的を把握しています。
しかし、日本でも「覚えなければいけないことが多すぎる」「上手な勉強の方法がわからない」(いずれも30.2%)では3割を超え、暗記量の負担感や勉強法に課題を感じる傾向が示されました。
算数の勉強で抱える課題に関して、「はい」と回答した小学4年生の割合(肯定率)と計算テストの結果から分類した計算力層の関係を調べたところ、世界5カ国の計算力の高低による差が最も大きかった課題は「わからない点を解消する方法がわからない」(計算力低位-高位の肯定率が22.7pt差)であり、不明点の解決法を獲得していることが計算力向上に重要であることが示唆されました。
一方、日本においても、いずれの設問も計算力高位よりも低位のほうが課題を感じており、世界5カ国と比べると計算力高位と低位での肯定率の差が大きい傾向が見られ、計算力層が低い層ほど課題を感じている可能性がうかがえました。
なお、計算力層による差が最も大きい課題は「覚えなければいけないことが多すぎる」(計算力低位-高位の肯定率が27.8pt差)で、暗記量の負担感の克服が計算力向上に重要であることが示唆されました。
算数の勉強で抱える課題に関する5つの設問について、「はい」と回答した小学4年生の割合(肯定率)とSES(Socio-Economic Status:世帯年収や親の学歴・職業などの指標)の関係を調べたところ、世界5カ国では、いずれの設問においてもSES層による差が10pt以内にとどまり、SES層による差は計算力層別の差よりも小さい傾向がありました。
その中で、SES層による差が最も大きかった課題は「覚えなければいけないことが多すぎる」(低SES層-高SES層の肯定率が9.7pt差)であり、暗記量の負担感を課題にする子どもは、低SESほど多い傾向が見られました。
一方の日本では、SESが高い層と低い層で肯定率の差が15pt程度開く設問もあり、世界5カ国と比べて家庭の社会経済的背景が、算数の勉強への課題感に影響している可能性が示されました。
日本の特徴としては、高SES層における課題感の低さがあるといい、特に「覚えなければいけないことが多すぎる」「何のために勉強しているのかわからない」と日本の高SES層が回答した割合は、世界5カ国の高SES層と比べて半分以下に抑えられています。
これは、算数を単なる暗記科目と捉えないような、本質的な理解を促す経験や、算数の勉強と将来の目標の関連を意識する機会が得られている可能性を示唆している半面、日本の低SES層では依然として「覚えなければいけないことが多すぎる」「上手な勉強法がわからない」といった課題を持ったままになっている現状があることがうかがえました。
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【出典】
▽スプリックス教育財団調べ
