「見ないで!」服を脱いだ女の子を描いた子ども時代 性がタブーだった平成の黒歴史、娘に伝えるきっかけに【漫画】
近年では性と性教育について、以前よりタブー視されない風潮になってきました。とはいえ「恥ずかしいもの」という自覚には変わりはありません。イラストレーター・漫画家のこたきさえさんの作品『平成生まれの母、令和女児の性教育に挑む』では、母親である作者が、2人の娘への性教育に悩み、向き合っていく姿が描かれています。
作者は7歳のころ、母親に「さえの人形はいつみてもハダカだね」と言われていました。作者は口では否定していたものの、実は脳内では女の子が服を破かれ大変な目に遭っている想像をして遊んでいたのです。
作者がこのような遊びをし、性に興味を持つようになった理由は少年誌にあります。その当時、作者の祖母宅には叔父の漫画雑誌やコミックスが置いてあり、それを作者はよく読んでいました。そしてそこに描かれていた「女の子はいつも服がビリビリになるハプニングに遭う」描写に影響を受けたのです。
そんな作者はある日、自分の股間を見てあるものを発見します。そしてそのことを絵に描き、母と祖母に「すごいこと教えてあげよっか」と誇らしげに全裸の女性の絵を見せたのです。その瞬間、母と祖母は凍りつき、その場からそそくさと立ち去ってしまいます。
その後も性への興味が止まらない作者は、裸の女の子の絵をたくさん描くようになります。そして描きあげた絵は誰にも見られないように、タンスの裏に隠していました。
しかしある日、隠していた絵たちは掃除をしていた祖母に見つかってしまいます。裸の女の子を描いたことを恥ずかしいと思っていた作者は、「見ないで!ごめんなさい…」と泣き崩れてしまうのでした。しかしそんな作者に祖母は「大丈夫 恥ずかしくないよ」と優しく声をかけます。
もしこのとき祖母に否定されていたら、絵も性的なものもタブーだと思い込んでいたはずと作者は当時を振り返ります。そのため作者は、娘達を否定せず『性』について教えたいと思うのでした。
同作について、作者のこたきさえさんに話を聞きました。
■この作品を通して誰かに「私も似た経験がある」と言ってもらいたい
-なぜ自身の幼少期について描こうとお考えになったのでしょうか
私はこの作品を通して誰かに「私も似た経験があるよ!」と言ってもらいたい気持ちが強くあります。ピンポイントで言ってしまうと、性の目覚めが早めだった方、漫画が好きな方、平成初期~中期に学生だった方、子育て経験のある方に対して、「私が持っている手札を見せます!この中に共通の話題はないですか?お話ししませんか?」とグイグイいってるつもりです。
日々生活する中で、もう自分だけで抱えていられない、人と話したい!という気持ちがピークに達したタイミングではちみつコミックエッセイ描き方講座に参加し、形にする機会をいただきました。
-こたきさんの家庭は、当時性の話をするのはタブーな雰囲気だったのでしょうか
生理の話は母と普通にしていたし、身体的な成長のサポートも十分してもらえたし、絶対にタブー!という雰囲気はなかったです。ただ、私自身が早い段階で「性=エッチなもの」という偏ったイメージを持ってしまったせいか、なにか疑問に思っても親に聞こうという発想は生まれませんでした。
辞書で性にまつわる単語をひいてみたり、図書館で「生命の誕生」的な本を読んだり、ちょっとエッチな少女漫画を読んで脳内で情報を融合させたりして自己解決していました。
-性を自覚するのが早かったことで、他にも困ることはありましたか
たくさんありました(笑)当時困ったというよりも、今思い返してみていたたまれない気持ちになって困ることが多いです。
小学校低学年の頃、トイレ掃除中にバケツの水がはねて下半身がびしょ濡れになったときに、先生に相談もせずなぜか下着だけ脱いでちょっとウキウキしながらスカートにノーパンで下校したことがあったのですが、我ながらだいぶきびしいです。自分だけで完結できる恥ならいいのですが、本編5話に描いた、友人にボディタッチをして泣かせてしまったできごとは今でも反省しています。
幼い頃のやらかしも、家庭での性教育についても、他人がどうだったか聞く機会は少ないと思います。この作品をきっかけに「こたきはこう描いてるけど、私の場合はこうで…」と話しやすい雰囲気ができたら嬉しいです。
(海川 まこと/漫画収集家)
