【漫画】「もう少し一緒にいたい」…PTA役員飲み会で始まった“距離感の暴走”に凍りついた夜 謳歌していた「第二の青春」が崩れる時
私立の中高一貫校のPTA活動は、一般的に想像されるような消極的な役割分担とは異なり、むしろ積極的な参加者によって支えられています。仕事をしながらも、PTA活動には積極的に参加し、各々の得意分野を生かします。エネルギッシュなメンバーが揃っているため、活動を重ねるうちに自然と親密な関係が築かれていくことも少なくありません。しかし、その“心地よい距離感”が、ある一線を越えた瞬間、空気は一変します。
■「またこのメンバーでやりたい」から始まる結束
愛知県在住のAさん(40代)は、私立中高一貫校に一人娘を通わせています。役員は立候補で決まるので、顔ぶれは毎年ほぼ同じです。気心の知れたメンバーで運営されるため、活動は驚くほど円滑です。打ち合わせの後には自然とランチに流れ、行事の打ち上げではお酒を交えて夜遅くまで語り合うこともありました。
中学3年生の子どもを持つAさんも、そんな環境に魅力を感じ、今年で3回目の役員を務めていました。役員同士の連帯感は強く、「もう一度学生時代を過ごしているようだ」と感じるほど充実した時間だったといいます。
■「ただの仲間」のはずが崩れた瞬間
変化は、ある飲み会の帰り道に起きました。駅へ向かう人の流れの中で、隣を歩いていた男性役員が、突然Aさんの手を取ったのです。一瞬の出来事に戸惑いながらも、その場では強く拒むことができませんでした。
しかし、それは一度きりでは終わりませんでした。後日、混雑した電車内で不自然に距離を詰められたり、「もう少し一緒にいたい」と引き止められたりと、明らかに“保護者同士”の関係を逸脱した接触が続くようになります。
Aさんにとって、その男性はあくまで「活動を共にする仲間の一人」に過ぎませんでした。子どもを通じて知り合った関係の中で、恋愛感情が生まれるなど想像すらしていなかったのです。
■親しさの解釈がすれ違うとき
思い返せば、会話の距離は近かったかもしれません。打ち合わせ後に雑談が長引くこともあり、連絡のやり取りも頻繁でした。しかしそれは、あくまで活動を円滑に進めるための信頼関係であり、個人的な好意とは全く別のものです。
一方で相手の男性は、いわゆる華やかさや人を惹きつける魅力を感じさせるタイプではありませんでした。それでも、周囲の女性役員たち --いわゆるきれいで感じの良いお母さんたちが分け隔てなく接し、笑顔で会話を重ねていたことで、自分が特別に受け入れられていると誤認してしまった可能性があります。場の雰囲気がフラットであればあるほど、その「優しさ」を好意と取り違え、距離を一歩踏み越えてしまう危うさが潜んでいました。
■「楽しい場所」であるほど難しい線引き
最終的にAさんは、これ以上一人で抱えることはできないと判断し、PTA会長へ正式に相談しました。学校という場に関わる以上、個人間の問題として済ませるわけにはいかないと感じたためです。
進学校の落ち着いた保護者層であっても、距離感のトラブルが起きないとは限りません。むしろ、安心感のあるコミュニティであるほど、境界線が曖昧になりやすい側面もあります。
「第二の青春」とも言われるPTA活動。その楽しさの裏側には、越えてはならない一線が確かに存在しています。親としての立場でつながる関係だからこそ、その線引きは、思っている以上に慎重である必要があるのかもしれません。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
