【漫画】一人暮らしを始めた息子が全然連絡をくれない!→母は「インスタ刑事」に つかみたいのは「元気に暮らす証拠」
子どもが大学進学を機に家を出ると、生活の様子がわからない分、多くの母親は「ちゃんと食べているのだろうか」「困っていることはないだろうか」と落ち着かない気持ちになるものです。
子どもの独り立ちを喜びながらも、離れて暮らす不安は日ごとに膨らんでいきます。神奈川県在住のOさん(50代)も例外ではありませんでした。次男の一人暮らしが始まったその日から、部屋の静けさに胸がざわつき、毎朝スマートフォンを握りしめる生活が始まりました。LINEを送っても、数日後の返信はスタンプのみ。そして気づけば、息子の「気配」を追うために、大学生協アプリとSNSを駆使する「インスタ刑事」へと進化していたのです。
■母が毎朝確認するのは息子の健康状態ではなく「学食の購入履歴」
Oさんの次男は近畿地方の大学進学で一人暮らしを始めました。長男は都内の大学に自宅から通学していたため、息子を送り出す心配は初めてです。中高一貫の男子校で温室育ちの次男。自宅でも、家事をやったことはありませんでした。「元気で過ごしているのか」「栄養は足りているのか」という不安に答えてくれるのは、次男と共有している大学生協のアプリでした。アプリには、次男が学食で購入したメニューがずらりと並びます。
ところが、その内容にOさんは早々に不安を覚えることになります。
ハムカツ、ラーメン、カレー、すき焼き丼、ミートソース、そして時々メンチカツ。これが延々と繰り返されていました。
画面に並ぶのは、揚げ物と炭水化物が主役の、いわゆる「茶色」の食事です。
せめて定食か、サラダ一皿でもと期待しても、一覧に現れるのはまたしても別のハムカツ。Oさんは思わず「野菜、足りている?」とLINEで送信しました。しかし返事はなく、既読だけが静かに表示され、後日息子から返されるのは「OK」のスタンプだったのです。
■「既読スルー」の壁を突破するため、母はインスタへ潜入する
次男に何を聞いても教えてくれない。
そこでOさんは次なる情報源として、息子のインスタグラムに目をつけました。
次男の幼馴染のママ友から、我が子のアカウントを入手しました。Oさん自身は次男に身バレしないよう慎重にアカウントを作成し、次男のアカウントをフォローしたのです。
投稿されているのは、観光地の風景や、友人たちとの集合写真、食べたものの写真などです。本人にとっては単なる記録でしょう。しかしOさんには、その一枚一枚が生活の痕跡として映り、じっくり観察せずにはいられませんでした。
写真の端に写る食べ物から、少しでも野菜が入っているかを確認したり、初見の友人がタグ付けされていれば、そのアカウントへ移動してどんな子なのかを探ったり。「ああ、この友だちは同じ関東の出身だわ」と、気づけば、朝のお茶を飲みながら次男から派生するインスタを巡回するのが日課になっていました。
■友人の投稿から、思わぬ「現場写真」を発見する
ある日のこと。次男がタグ付けされていた友人の投稿を開くと、そこには見覚えのあるパーカーの袖が写り込んでいました。投稿者は次男の友人らしく、複数人で食事を楽しんでいる様子が映し出されています。「お酒は飲んでいないようね。よし!」
さらに写真をスワイプしていくと、見過ごせない光景が現れました。
次男の隣に、笑顔の女子が写っていたのです。
その女子のアカウントへ移動すると、別の日に撮影されたと思われる写真が並んでいました。そこには、息子の姿こそ写っていませんが、背景の店が次男の投稿と一致していました。2人が同じ日に同じ場所にいたのではと推測できる手がかりです。
Oさんはまるで尾行中の刑事のような気分で、女子学生の投稿のキャプションやコメント欄を読み込みました。「この子は友人なのか、それとも彼女なのか」…そんな詮索をしながら、次男の生活を少しずつ補完していく作業が続きました。
■「彼女なの?」と聞けない母の代わりに、SNSが示すわずかな気配
次男に直接「その女子は誰?」と聞くことはできません。母としてインスタ刑事をしていることを知られたら、次男に警戒されてブロックされるか、更新されなくなってしまうかもしれません。その後の沈黙が怖いからです。ホシは泳がせねばなりません。情報は焦らず観察する必要があります。
だからこそ、SNSに残されたわずかな情報を頼りに、Oさんは息子の生活を辿り続けます。
安心を得るためというより、「元気に暮らしている証拠」を探しているだけなのです。
次男は今日もハムカツを食べ、既読スルーを重ねながら、大学生活を満喫しているのだと思います。Oさんはその一端を、写真の隅に写る影や、友人の投稿に重ねられたスタンプから読み取るしかありません。
■SNSがつなぎとめる、母の心の行き場
子どもの独り立ちは、本人以上に母親の生活を大きく変えます。
部屋の静けさに慣れない日々。
連絡の少なさへの不安。
聞いても教えてくれない年頃の子どもに、どう見守る距離感を取っていいのかもわからない日があります。
健康で、楽しく、できれば単位を落とさずに、留年せず、欲を言えば、素敵な彼女ができてたら嬉しい。こうしてOさんのインスタ刑事としての任務は、今日もひそやかに続いていきます。
通知の音に、小さな安心を添えながら。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
