夜の世界の「転々虫」 入店&退店を繰り返し早7年 行き場がなくなって初めて腰を据えた【三十路キャストに取材】

基本的にキャバクラやホスト、大人のお店などの「夜のお店」は、就職も離職も簡単です。これがハイレベルな高級店だと採用は一気に難易度が上がるものの、離職に関しては相当な売れっ子でない限り引き留められません。「やめる」ことに関しては、明日明後日どころかLINE1本で退店可能な場合もあるくらいです。

だからこそ、1カ所に留まれず入店と退店を繰り返すキャスト(通称、転々虫)が後を絶ちません。短期離職を繰り返すのはすぐクビになってしまうほど勤怠が悪いとか、単純に飽きるのが早いなどさまざまな理由があり、必ずしも転々虫=問題児とも限らないようです。

■転々虫歴2年の夜職女子「行く店がまだあります」

夜職歴3年生であるユマさん(仮名・22歳)は、ここ2年間は転々虫を続けています。最初の1年は1つの場所に腰を据えるべく奮闘していましたが、勤務半年で緊張の糸がプツリと切れたとか。なぜなら右も左もわからないまま始めた風俗業で苦戦し、うまく指名が取れないことに疲れてしまったからです(以下『』内、ユマさん談)。

『ガルバやコンカフェとか飲み屋系を一切挟まず、推し活をしたい一心で風俗を始めました。ぶっちゃけ、仕事をナメてたんですよ(笑)すぐ指名くらい取れるでしょって。でも、自分が考えていたよりもお客さんが掴めなくて、店のルールも厳しくてすぐに心が折れました』

ユマさんが初めて働いた職場は、毎日のように新人がやってくる競争率の高い環境でした。顔出しもSNS運用もどんと来いな女の子が勢ぞろいで、NG事項の多かった彼女は入店後あっという間に干されてしまいます。

トークやスタイルには自信があったにも関わらず、思うように成績が残せず退店。その後レベルを落としたお店にも入りましたが、徐々に怠けグセがついて現在は転々虫に。1つのところに入っては1~3カ月以内で離職、また新しいお店を探すことを繰り返す毎日です。

『もっと頑張ればいいんでしょうけど、客はキモいし……。仕事好きじゃないからテンションも上がらず、今となっては接客もテキトーです。すぐやめるなら指名も返さなくていいかって感じ。2年くらい関東を中心に転々しまくってるけど、業種にこだわらなければまだ行く店はありますね!ただ、そのうち行くところなくなったら地方出稼ぎしか選択肢なくなるのかな?って思うと、結構コワイ』

ユマさんのような女性は実際に多く、まだまだ選択肢が広い若者を中心に転々虫が誕生している様子です。転々虫を繰り返して稼ぎ切り、行く場所を失う前に業界を卒業するツワモノも今は少なくありません。

■行き場がなくなった……「元」転々虫だった女子の現在

「夜職ってもともとラクして稼ぐもんだと思ってたんですよ。だからテキトーしばいて転々しまくってたら、行く場所がほぼなくなりました(笑)だから今はようやく、三十路にして一か所で頑張ることを覚えましたね」

衝撃のエピソードを語るのは転々虫歴7年から脱却し、現在は落ち着いたナイトワーカーのミソラさん(仮名・30歳)。

彼女は23歳から夜職を始め、延々と短期離職を繰り返していたそうです。数年もの間転々虫を続けられていたことがまず驚きですが、行き詰まりを感じる瞬間はなかったのでしょうか(以下『』内、ミソラさん談)。

『それが……意外となかったんですよね。デリバリーなどの“派遣型”からお風呂屋やメンズエステなどの“店舗型”など業種にこだわらず、活動エリアの範囲を広げてたら思ったよりも行けるところがたくさんあって(笑)1つの店舗に早くて1カ月、長くて半年身を置く生活を続けていたら7年経っちゃった感じです。

正直なところ、行く場所が全くのゼロになったわけではないですよ。ただ昔働いていたお店が大手グループの傘下になったり、どこかと合併していたりと、“入店した可能性がある”ところに変わっているケースがあるんですね。それだと面接へ行った際に“昔働いていました?”ってなって気まずいじゃないですか』

成績が悪ければ再面接不可となりやすいのが、夜の世界の厳しいところ。自分が働いていないであろうグループやお店を探すのも大変になった結果、ミソラさんは運よく自分に合う店舗と巡り合いました。それ以来、転々虫の癖が一気に抜けたそうです。

『怠けグセ、辞めグセがついていたのはありますけど。“行き場がなくなってきたから、一か所で頑張ることをやっと覚えた”のが正しいかも(笑)ナイトワーカー歴8年目に突入して情けないですけど、今が一番働いてて楽しいし稼ぎも安定しています。人間って追い込まれると、意外とどうにかなるんだなって思っちゃいました』

一か所に留まらない旅人のようなスタイルで働けるのも、夜の世界の醍醐味だとは思います。しかし、どんな界隈でも継続なしで明るい未来を紡ぐのは難易度が高いため、ミソラさんのようなケースは少々稀かもしれません。

◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。

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