「少し社会をなめてる?」広告代理店を半年で辞めた女性に面接官が一言 短期離職者に企業が抱く“本音”とその乗り越え方【キャリアカウンセラーが解説】

Aさんは希望に胸を膨らませて入社した広告代理店を、わずか半年で退職しました。入社前に聞いていた華やかな企画職とは程遠い、深夜までの雑務と体育会系の厳しい上下関係に耐えられなかったのです。鳴りやまない上司の怒声と心身がすり減っていく感覚に、「このままでは壊れてしまう」と、自らを守るために退職を決意しました。

すぐに次の仕事を見つけるために転職活動を始めたものの、現実は厳しいものです。履歴書を送っても、送っても、返ってくるのは「お祈りメール」ばかり。

やっとの思いでこぎつけたIT企業の面接では、「なぜ半年で辞めたのですか?」と聞かれ、Aさんはしどろもどろになってしまいました。最後には「少し社会をなめているんじゃないか」とまで言われてしまったのです。

短期間での退職は、本当に転職において致命的なのでしょうか。キャリアカウンセラーの七野綾音さんに話を聞きました。

■「他責思考」では短期離職を繰り返しかねない

ー企業は短期離職の経歴をどのように見ていますか

まず、過度な長時間労働やパワハラなど、自分の力では変えられない環境で心身を壊してしまう前に離職に踏み切ることは非常に大切です。

ただ、短期離職という経歴だけを見てポジティブに評価されることはほとんどありません。人事担当者は、その経歴を見てまず「なぜ、すぐに辞めてしまったのだろうか?」という疑問と、「うちの会社に入社しても、またすぐに辞めてしまうのではないか?」という警戒心をどうしても抱いてしまいます。

特に、職務経歴書に離職理由が一切書かれていない場合、その警戒心はさらに強まるため、書類選考の段階で不採用になってしまうケースも少なくありません。

ー面接ではどのように回答すればいいでしょうか

最も重要なのは、どのような事情があったにせよ、他責だけにせず自責の視点を持って語ることです。会社の体制や人間関係、労働環境だけを理由にすると、「環境が悪ければまた辞める人」という印象を与えかねません。事実であったとしても、「短期離職せざるを得ない会社を選択したのは自分だ」という視点を持つことが不可欠です。

短期離職の事実と、自分自身の選択の結果であることを素直に受け止め、そこから何を学び、今回の転職活動でどう活かしているかを具体的に語ることが大切です。そのうえで、なぜこの会社を志望したのかを前向きな言葉で伝えると良いでしょう。成長への糧とした前向きな経験としてアピールできるはずです。

ー短期離職を繰り返さないためにはどうしたらいいでしょうか

短期離職を繰り返してしまう根本的な原因に、自分自身の転職の軸がないまま、周りの情報や耳障りの良い言葉に流されてしまう点が挙げられます。したがって、「自分はどうしたいのか?」を徹底的に言語化することが重要です。

また、その業界や会社を選ぶのは自分であるという意識を持つことも大切です。「何社も受けたけど一社しか内定がでなかった」、「転職エージェントに強く勧められた」などの事情があっても、最終的にその会社に入社を決めたのは自分自身です。長い職業人生、働く場所はどこでもいいわけではないと思います。自分の選択に責任を持つという覚悟が決まれば、意識・行動が変化し、自分に相応しい企業を自分の軸で選べるはずです。

◆七野綾音(しちのあやね)キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント

やりがいを実感しながら自分らしく働く大人を増やして、「大人って楽しそう!働くのって面白そう!」と子ども達が思える社会を目指すキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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