ガリガリにやせ細った野良猫「保護しよう」→「お腹マッサージ」が日課の甘えん坊に「楽しい記憶だけ残ってほしい」
Xユーザーのかもぴさん(@_kamokamone)の庭に現れたのは、まるまると太った野良猫。それが「カラン」ちゃん(推定2歳から3歳・女の子)です。2024年1月、まったく警戒心を見せずにやってきて、窓の外から部屋に入りたそうにしていました。
「そのときは毛が汚れていて、人懐っこいベテラン野良猫なのかなって思っちゃったんです。あのとき保護していれば…って何度も思いました」
その後も庭の近くを行き来するカランちゃんを見かけていましたが、5月のGWを境にぱったりと姿を消します。
「気になって愛護センターに収容されていないか確認もしました。あの頃から頭の中はカランのことでいっぱいでしたね」
2週間後、再び姿を見せてくれたカランちゃん。しかし7月にはガリガリに痩せ細り、胸が締めつけられる思いをします。
「見た瞬間、あまりに痩せていて…ショックでした。お腹も空いてるんだろうなと思って、保護しようと決めました」
そこで餌付けを開始。しかし7、8月に試みた捕獲は失敗に終わり、流血する場面も。カランちゃんは餌場を転々とするようになってしまいました。
「自分だけじゃ捕まえられないと思って、カランを気にかけてくれていた他の方と協力して2025年1月にも挑んだんですが、ダメで…。捕獲器にトラウマがあるみたいで、本当に難しかったです」
■窓の向こうから、ついに我が家へ
そんな苦労が続いたある日、ついに奇跡が訪れます。4月30日、カランちゃんがまた庭に姿を現してくれたのです。
「初めて会ったときと同じ状況で…。おやつとウェットで誘い込んで部屋に入ってもらい、窓を閉めて、やっと保護できました」
家に迎え入れてからの数日、カランちゃんは外に出たそうにそわそわと落ち着かない様子。
「誘拐されたのも頼れるのも私だけ…みたいな顔をしてて(笑)。信頼はあったけど、やっぱり戸惑ってるようでした」
カランちゃんはもともと声が大きく、外に出たい気持ちを訴える声も迫力があります。
「朝昼晩とずっと鳴いていて、3日くらい私がほとんど眠れなかったんです。窓がちょっとでも開く気配がすると飛んでくるし、獣医さんに『脱走したらもう二度と会えないと思ってください』と言われて、本当に怖くて…」
保護した直後にはパニックを起こし、窓に3回も体当たりしたことも。
「でも触れるのは最初からで、ブラッシングもすぐできました。数日して汚れていた毛を濡れタオルで拭いたとき、とても気持ちよさそうにしてくれて…。あの顔は忘れられないですね」
■お腹マッサージが日課に
カランちゃんは野良時代からお腹を触らせてくれる子でした。
「それが『お腹をずっと触ってて』って言わんばかりに甘えてくるようになって…。今じゃ毎日のお腹マッサージが日課です」
外で見ていた頃は普通の野良猫に見えていましたが、家に入るとその幼さや甘えん坊な面が際立ちます。
「最初からくっついている方が安心する子だったんだなと思うと、外でどれだけ心細かったんだろうって…。返事したり要求鳴きしたり、本当にコミュニケーション上手で、きっと以前の飼い主さんともいっぱい話してたんでしょうね」
なぜ捨てられてしまったのかはわからない。でもカランちゃんを見ていると、以前はしっかり愛されて育った子なのだと感じるそうです。
「抱っこは苦手だったんですけど、5月16日に初めて抱っこできたんです。『いつか抱っこしたい』が叶って、本当にうれしかった。その動画をTwitterに投稿したら、祝福のリプがいっぱいきて、万バズもしちゃって」
保護以降、カランちゃんのツイートは何度もバズり、多くの人に応援されてきました。
「野良の頃から気にかけてもらってた子ですからね。やっぱり特別なんだと思います」
■野良だった過去を忘れて、これからを幸せに
カランちゃんは、もう過酷な外の世界を生き抜く必要はありません。何度も保護に失敗して心が折れそうになりながらも、飼い主さんはあきらめませんでした。道端で倒れているカランちゃんを想像するたびに、「絶対にそんな未来にはしない」と自分を奮い立たせてきたといいます。
「今でもカランが家にいるのが夢みたいです。捕獲に失敗して何度も心が折れそうになったけど、道端で倒れてるカランを想像しては『絶対にそんな未来にしない』って奮い立たせてました。初めて会った日のことや、真夏に仕事から帰ったら『おかえり!』って迎えてくれたことも宝物です。今、ベタベタに甘えてくれてるのを見て、本当に『よかったな』って思います」
飼い主さんはそう懐かしく振り返りながら、これからカランちゃんらとともに過ごす日々について思いを馳せます。
「うちには他に3匹の猫がいますが、カランは一番よく『シャー』って言うんです。それがまたかわいくて、つい笑っちゃいます。でもみんなとうまくやってくれてるし、健気にがんばってくれてるんだろうなって思います。野良だった頃の記憶は全部忘れて、これからの楽しい記憶だけ残ってほしい。辛いことは全部置いて、これからも好きなだけ甘えて過ごしてほしいです」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)





