妊娠・出産にかかったリアル費用は? 40代女性・Aさんのケース 増額された出産育児一時金…自己負担なしで足りるか検証

「異次元の少子化対策」の一環として、2023(令和5)年4月から出産育児一時金が50万円に増額されましたね。Aさん(40代、自営業)はそれより前に出産したので、Aさんがもらえた一時金は42万円でした。病院の領収書の「妊婦合計負担額」欄に記入されている金額は49万8070円だったそうで、自己負担額となる「総請求額」は7万8070円だったとのこと。この金額に妊娠中の健診の総額を足して、結局妊娠・出産にどれくらいの費用がかかったのかを聞いてみました。

■「昔に比べたら負担は減ったよ」以前の一時金は30万円だった……

Aさんの出産にかかった費用が49万8070円だったということは、何とか50万には収まっています。「もう少し早く増額されてたら自己負担なしでいけたのにね」と声をかけると、「それでも昔に比べたら、妊娠・出産の負担額はマシになったよ」とのお返事が。

実はAさんの今回の出産年齢は、40歳オーバー。年の離れたお子さんが上にいらっしゃって、長女を出産したときの出産一時金は30万円の時代。

出産一時金は、1994(平成6)年から30万円で始まり、段階的に拡充しながら、2009(平成21)年に42万円になりました。しかも42万円になるまでは、いったん全額支払い。申請して後から戻ってくるシステムだったため、里帰り中の実家の両親に一時立て替えてもらったそうです。当時の領収書を見せてもらうと、総額が40万4310円なので、30万円の一時金をもらっても、自己負担額が10万円を超えています。地元で長年続いている産婦人科で出産し、「特に豪華な食事なんかは出てないよ」とのこと。

また、この時代は、妊婦健診の補助金もなく、「出産だけではなく、健診にもこんなにお金がかかるのか」と驚いたそうです。妊娠は、病気ではないため健康保険が使えません。当時の妊婦健診で総額がどれくらいかかったかは「覚えていない」そうですが、病院に行くたびに1万円札を用意していたとか。今の妊婦健診の公費負担の全国平均は10万7792円(※)とされており、当時でも「軽く10万円は超えてた」と言います。

(※)2020(令和2)年時点での妊婦1人当たりの公費負担額=厚生労働省「妊婦健康診査の公費負担の状況について」より

妊婦健診に補助金が出るようになったのは2009(平成21)年から。高額な妊婦健診がかかるため、産婦人科にかからずに妊娠期間を過ごし、陣痛が始まってから病院にかかる「飛び込み出産」が問題になったためでした。けれども、当時は自治体によって差があり、全国的に公費助成が制度化されたのは2013(平成25)年からでした。

■「妊婦健診」の公費助成を使った妊娠中の医療費は?

今回の出産では、妊婦健診の補助金が使えたAさん。「妊娠中にかかった医療費どれくらいになった?」と聞いてみると、「人にもよると思うけど……」と教えてもらった金額は3万3270円でした。

母子手帳と一緒に補助券を渡す自治体がほとんどのため、それまでの医療費は全額支払う必要があります。母子手帳の受け取りは、「赤ちゃんの心拍が確認できてから」という病院が一般的で、初診を含めそれまでは実費がかかります。また、妊娠中は胃の調子が出産直前まで悪く、胃薬をもらっていたそう。その分は補助券の対象ではないので、毎回診察費用が1000円程度かかっていたそうです。

■50万円支給される今だったとすると…妊娠・出産の自己負担額は3万円程度

出産費用の自己負担が7万8070円、妊婦健診が3万3270円だったので、総額は11万1340円だったAさん。これが出産一時金が8万円上がって50万円支給される今だったらと換算すると、3万円程度の計算になります。

Aさんが長女を出産したときの自己負担額が、出産費用の自己負担額が約10万円、妊婦健診も約10万円で合わせて20万円だった時代に比べると、だいぶ負担が軽減されますね。

けれども、妊娠中にかかるお金はそれだけではありません。マタニティ服や妊婦用の下着など、節約したくてもどうしても必要なものもあります。Aさんも、「最初の子どもなら次の子に使えるかもと、無駄にはならないマタニティ服も、この年での出産なら絶対最後(笑)」と、できるだけ安く済ませようとしたそうです。それでも、コロナ感染症のため出産入院時のお見舞いが不可だったこともあり、洗濯ができないパジャマや下着を多めに用意する必要がありました。

■当たり前だけど、赤ちゃんは生まれてからがお金がかかる!

結局マタニティ服には1万7000円ほどかかったそう。赤ちゃんの服はお友達のお下がりをたくさんもらったものの、それでも5000円くらいは購入したとか。それにプラスして、爪切りやベビー石けんのような細々としたものから、赤ちゃんのお洋服を入れる衣装ケースなどのさまざまなベビー用品を買い足した分が2万円程度かかりました。

ベビーカーやチャイルドシートなども、つてを頼って人からもらい、できるだけ節約したというAさん。「出産一時金が増額しても油断はしない方がいいね」と言います。上のお子さんのときに入っていた利率の良かった学資保険は今はなくなっており、「この子の学費を確保するために必死に働かないと(笑)」と、できたらすぐに再就職したいというAさん。

「異次元の少子化対策」がどれくらい「異次元」になるかはわからないけれど、「政府の政策にはアンテナを張っていたい」と言い、児童手当拡大のニュースなどはいつも気にしているそうです。もちろん、政策ばかりに頼らず、自分たちでできることはやっていくためにも、家族みんなが健康で、夫婦ともに長く働けるように頑張りたい、というAさんでした。

(大田 亜由美/ファイナンシャルプランナー・整理収納アドバイザー・防災士)

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