飼い主と離れ愛護センターへ 「気性難」として殺処分対象になった元飼い犬 閉ざした心を開いたのはたくさんの愛情だった

「殺処分ゼロ」の実現を目指す保護犬団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。今から数年前に、ピースワンコに保護されたボブは、元飼い犬とおぼしきワンコでした。

事情はわからないですが、元飼い主と離れ離れになり、愛護センターに収容されました。人間に裏切られ心に深い傷を負っているのか、ボブは愛護センターのスタッフにも激しく威嚇し続けました。結果「気性難」として殺処分対象になったものの、ピースワンコのスタッフに引き出されることになり、その命が繋がったワンコでした。あまりの暴れん坊ぶりから、格闘家のボブ・サップからもらい、ボブと名付けられました。

■たくさんの愛情を与えるのが大切

ピースワンコが引き出した当初も、ボブは激しく威嚇し続けました。しかし、これまでにも多くの「気性難」のワンコと接してきたプロジェクト・マネージャーの安倍誠さんは慌てず、こう語りました。

「はじめは人間に対して噛んできたり、威嚇したりするところがありました。元々いた環境が悪かったと思うんです。人間に対して警戒していて、人間不信の目をしていました。ピースワンコで保護するワンコたちは、捨てられた子や心に傷を負っている子も少なくありません。しかし、その心の傷を埋めるのはやっぱり愛情です。

今までの傷を埋めるような、上回るようなたくさんの愛情を与えるのが大切で、愛情とともに、毎日の献身的なお世話も、ワンコから歩み寄ってきてくれるために必要なことです。ワンコは純粋な生き物なため、人間が尽くした分、必ず心を開いてくれます」

■心を開いてくれるようになった

この安倍さんの思いと根気強いケアとサポートにより、ボブは日を追うごとに暴れなくなり、むしろ甘えるようになりました。さらには安倍さん以外の人間にも体を触らせることを許すようになりました。すっかり人間への信頼を取り戻してくれたように感じます。

「ボブは変わった」と安倍さんは語ります。

「人との距離が離れたまま、ここで暮らすこともできるが、それは犬にとって幸福なことではありません。だから、どんなワンコが来ても距離を縮める。人間を好きになってもらう。そして、本当にいい飼い主さんに巡り合えたら最高だなと思っています」

ボブと安倍さんの生活は、心に傷を背負い、暴れまくるワンコであったとしても、このように人間が愛情をたっぷり注ぎ、ケアし続ければ必ずいつか心を開いてくれる好例になりました。

現在ボブは推定13歳ほどになりシニア犬の域に達していますが、それでも新しい里親希望者さんとの出会いを待ち、日々を過ごしています。本来の散歩好き、人間好きの性格が前面に出るようになったボブに、幸せな第2の犬生が訪れることを祈るばかりです。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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