ローカル線なのにラッシュもさばく! 兵庫県の南北つなぐ加古川線・播但線で、通勤電車「103系」が今も活躍する理由

3月18日をもって、JR和田岬線(兵庫~和田岬)から103系が引退しました。103系は高度経済成長期に誕生し、約3500両が製造された通勤電車です。

和田岬線からの撤退後、103系が活躍する路線は加古川線、播但線、筑肥線のみとなります。このうち加古川線と播但線は和田岬線と同じく兵庫県内にあります。この2路線に何か共通点はあるのでしょうか。

■電化後発組だった2路線

加古川線は加古川駅と谷川駅を結ぶ全長48.5キロの路線で、加古川駅でJR神戸線(山陽本線)、谷川駅で福知山線に接続します。一方、播但線は姫路駅と和田山駅を結ぶ全長65.7キロの路線で、和田山駅で山陰本線と接続します。

この両路線の始発駅である姫路駅と加古川駅は約15キロしか離れておらず、加古川市から姫路市へ通勤する市民も少なくありません。姫路市は人口約50万人の中核市であり、姫路市と加古川市は「播磨圏域連携中枢都市圏」に属しています。

同一都市圏にある加古川線と播但線ですが、もともとの役割も似ています。両線とも兵庫県内の南北を結び、播但線には特急「はまかぜ」が運行されています。また加古川線は1995年に起きた阪神・淡路大震災で阪神間の交通網が寸断された際、大阪と山陽本面を結ぶ迂回路として機能しました。

長年にわたり両路線とも非電化でしたが、播但線姫路~寺前間は1998年、加古川線は2004年に電化されました。電化の際に103系改造車が投入され、2両編成でも運行できます。

ちなみに播但線103系の前面は和田岬線の103系と似ていますが、播但線103系先頭車の中にはもともと中間車だった車両に運転台を付けたものが存在します。他にも改造箇所があるせいか、鉄道ファンの間では播但線103系は和田岬線と比較すると、あまり注目されてこなかったように感じます。

■ 都会部と末端区間で全く異なる加古川線・播但線

それでは加古川線、播但線ともに地方交通線にも関わらず、なぜ通勤電車103系が導入されたのでしょうか。それを解き明かすヒントがJR西日本が公表している1日あたりの輸送密度(平均通過人員)です。

2019年度の1日あたりの輸送密度を見ていくと、加古川線加古川~厄神間は4000~8000人、播但線姫路~寺前間は8000人以上となり、ローカル線の中では多くの利用者が存在することがわかります。

平日朝ラッシュ時における加古川線加古川~厄神間、播但線姫路~福崎間の加古川行き・姫路行きの列車本数は毎時3~4本です。本格的なラッシュをさばくには4扉ロングシートの通勤電車が最適という判断なのでしょう。

一方、末端区間にあたる加古川線西脇市~谷川間、播但線寺前~和田山間の1日あたりの輸送密度は2000人未満になり、廃線の危機が迫っています。基本的に末端区間には103系は乗り入れません。

■将来的に新車は投入される?

公式発表はありませんが、103系の代わりに新車は投入されるのでしょうか。2017年に兵庫県が示した県内交通に関する資料では「車両施設の老朽化」を課題のひとつに挙げています。県から指摘されている以上、このままベテラン車両を使い続けるのは苦しいのではないでしょうか。

それではどのような新車が投入されるのでしょうか。候補車両として、万葉まほろば線(桜井線)で活躍する2019年デビューの227系1000番台に類する車両が思い浮かびます。227系1000番台は2両編成・ワンマン運転に対応する3扉ロングシート車両です。

とにもかくにも、当分は加古川線、播但線では103系の活躍が続きそうです。休日に両線を訪れてみてはいかがでしょうか。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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