阪神・山陽だけじゃなかった!?…色が違うだけで停車駅が変わる“複雑列車” 南海本線に走っていた「赤準急」「青準急」

阪神・山陽が運行する「直通特急」の種別幕は赤色と黄色があり、一部区間にて停車駅が異なります。実はこのような前例が南海本線にあったのです。

■ 少し影が薄い? 南海本線の区間急行と準急

大阪と和歌山を結ぶ南海本線には2023年2月現在、普通、準急、区間急行、空港急行、‐急行-(※白線急行)、急行、特急の計7種類の種別が存在します。

※「‐急行‐(白線急行)」と「急行」は異なる種別で、「‐急行‐(白線急行)」は春木駅に停車する以外は「急行」と同じ停車駅です。

この記事で主に取り上げるのは区間急行と準急です。

区間急行の停車駅は難波、新今宮、天下茶屋、堺、羽衣、泉大津、春木、岸和田、貝塚、泉佐野以遠の各駅です。「区間」が付く列車らしく難波~泉佐野駅間は空港急行と同じ停車駅です。

かつては日中時間帯にも運行されていましたが、2017年ダイヤ改正にて昼間の区間急行が空港急行に変わり、南海本線では影が薄くなりました。現在は朝夕ラッシュ時と夜間に運行されています。

南海本線の準急は平日の難波行き2本しかありません。停車駅は堺までの各駅と天下茶屋、新今宮、難波です。2019年ダイヤ改正で、現行の本数まで減少しました。

■ 1994年以前に存在した「赤準急」と「青準急」とは

さて、現在は全く別種別である区間急行と準急ですが、関西国際空港が開港した1994年以前は同じ準急でした。しかも2種類の準急が存在し、列車にある種別幕・行先板の色(赤色・青色)によって区分されていました。通称として種別幕が赤色の準急は「赤準急」、青色の準急は「青準急」と呼ばれていたのです。

赤準急と青準急の違いは停車駅と運行区間です。ここでは昭和末期のダイヤを紹介します。赤準急の停車駅は難波、新今宮、堺、羽衣、泉大津、春木、岸和田、貝塚、泉佐野以遠の各駅です。停車駅を見ればわかる通り、現在の区間急行とほぼ同じです。運行区間は難波~和歌山市(または樽井)でした。

青準急の停車駅は難波、新今宮、堺以遠の各駅で、現在の準急とあまり停車駅は変わりません。運行区間は難波~高石(または岸和田)でした。

赤準急、青準急ともに運行時間帯は限られ、難波~和歌山市駅間の赤準急は早朝のみで、他の準急はラッシュ時を中心に急行を補完する存在でした。

さすがに同種別にもかかわらず、停車駅が異なるのが複雑だったせいか、1994年ダイヤ改正時に赤準急は羽倉崎駅発着「‐急行‐(白線急行)」の一部と統合される形で、現在の「区間急行」になりました。ちなみに、現在の区間急行の色は緑色です。

■ 「赤準急」「青準急」に類似した「直通特急」

前述のとおり、色分けにより停車駅が異なるのが阪神・山陽の「直通特急」です。さすがに南海本線の赤準急・青準急を倣ったとは思いませんが、現在の姿になって早20年以上。直通特急はこのまま変わらないのでしょうか。

全国的に「同一種別にもかかわらず、停車駅が異なる」パターンが少なくなっているだけに今後の動向が気になるところです。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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