猫の首輪の「たすき掛け」事故…脇腹がパックリ割れた野良猫を保護 手術後、1カ月半でスピード完治の治療法とは?

長崎市内の民家で4月中旬ごろ、首輪が右前足に引っ掛かり「たすき掛け」になって大けがをした野良猫が保護されました。野良猫は、推定3、4歳くらいの男の子。たすきくんと名付けられました。

保護したのは、動物愛護団体「R&G長崎の保健所の命を救う会」(同市)の代表でプロアニマルレスキュー隊の浦川たつのりさん。自宅の庭で野良猫に餌やりをしていた住民から「最近けがをしているようで変な臭いがする猫(たすきくん)が餌を食べに来ているからその子を保護して治療してほしい」との連絡を受けたといいます。浦川さんに話を聞きました。

■犬小屋に入ったところを捕獲器で保護 首輪の食い込み方がひどかった・・・

浦川さんが現場に駆け付けたところ、たすきくんの姿は見えず。いつも入ってくつろいでいるという空っぽの犬小屋の近くに捕獲器を仕掛けました。しばらくして小屋の中に見てみると、奥の方にちょこんと座っているたすきくんを発見。すぐさま捕獲器を小屋の前に移動させるなどして、何とか保護することができたそうです。

しかし、たすきくんの右側の脇腹がパックリと割れていました。浦川さんは「けがの状況は想像していた以上にひどかったです。首輪の食い込み方がひどくて。化膿(かのう)して腐敗が進んでいたようでかなり臭いもして、かわいそうでした」と振り返ります。すぐに動物病院に連れて行きました。 

病院では、パックリ割れてしまったたすきくんの皮膚は化膿がひどく、粗めに間隔広げた状態で縫って少しずつ縫合していく手術を実施することに。また今回のけがだけではなく、交通事故に遭うなどしてあごの骨が割れたような傷跡もあったとか・・・そんなたすきくんについて、浦川さんは「この子は首輪をしていましたから、飼い猫だった可能性が高いです。飼えなくなって捨てられてしまったのか・・・あごの傷跡は1年以上経っていたようで、数年は放浪していたのではないかと思われます。一体どれだけの苦痛、そして大変な人生を歩んできたのか。先生の話を聞いたときは、本当に悲しい気持ちになりました」と話します。

■猫の首輪"たすき掛け事故"での大けがは少なくない 野菜ネットに入れての治療、完治が早かった

右側の脇腹がパックリ割れ、入院をしながら数回に分けて縫合手術を受けたというたすきくん。手術をした獣医師によると、たすきくんのように首輪がたすき掛けになって脇に大けがを負う症例は3例目とのこと。前回の手術でけがを負った猫は完治までに半年もかかったとか。それは、開いた傷口を縫合しても脇を動かしてしまうため再び傷口が開いてしまって完治が遅れたそうです。今回早めに治るようにと野菜ネットにたすきくんを入れて治療をしたところ、あまり激しく動くことなく1カ月半ほどで完治し退院できたといいます。

「たすきくんだけではなく、猫が首輪を前足で外そうとしてたすき掛けになりけがをする事例は結構あるようです。入院中、最初は嫌がって傷口の消毒などが大変だったようですが・・・そのうち野菜ネットに入れて治療をしたり、ご飯などをあげたりしていたら、あまり動くことがなく治りが早いことに気付いたと聞いています。またポリエチレンやナイロンなどの野菜ネットは、猫がおしっこをしても吸い込まないのでふいたらすぐにきれいになります。治療をする際には、とても有効だと感じました」(浦川さん)

現在、早めに完治したたすきくんは里親募集をしていたのですが、なかなか決まらず。最終的には保護の依頼者からの要望もあって、去勢手術も済ませ元いた場所にリリースしたとのこと。今も依頼者の庭に餌を食べにやってきて、元気に過ごしているそうです。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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