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兄弟猫に守られていた子猫は心臓から雑音が… ドイツ語で「幸福」を意味する名前に込められた願い

肥大型心筋症は人間だけの病気ではありません。猫も患うことがあり、人間より発症率が高いのだそう。神奈川県で暮らすキジシロの男の子、フェリックスくんも肥大型心筋症を患っている猫の1匹。降圧剤を毎日飲み、症状を落ち着かせています。

といっても、特に目立つ症状は心雑音ぐらいで、日常生活に問題はありません。それでも飼い主のT夫妻が気にかけ、大きな動物病院で検査したのには理由がありました。それは保護された時の状況です。なんと一緒に保護された兄弟猫のティーガくんがフェリックスくんを庇うようにしていたからです。

フェリックスくんとティーガくんが保護されたのは、関東地方のとある公園。生後数日の時、保護主さんに助けられました。小さな体なのにティーガくんは、フェリックスくんを守るように覆いかぶさっていたと聞きます。それがティーガくんの使命かのように。

このままなら野生動物の餌食になると考えた保護主さんはすぐ保護し、しばらく自宅で看病をしました。しかし、里親募集をするなら保護団体に託す方が良いだろうと考え、熱海市にあるNPOくすのきにフェリックスくんとティーガーくんをお願いしました。フェリックスくんとティーガくんが生後1カ月になったころのことです。

ティーガくんはすくすくと大きくなり、施設で元気いっぱいに過ごします。ところが、フェリックスくんの体調は低空飛行。猫風邪が良くならず、いつも鼻水を垂らしっぱなしです。スタッフが動物病院で検査をしたところ、心雑音が聞こえるとのこと。このまま里親募集をして良いものか…。

迷いを抱えたまま迎えた東京都で開催された大規模な譲渡会。そこに訪れたのが、神奈川県に住むT夫妻です。1年間のドイツ赴任から帰国したばかり。2人とも猫が大好きなのに、ドイツでは猫と触れ合えなかったため、すぐにでも猫を迎えたいと考えていました。

2人の希望は、キジトラ柄であることと2匹一緒に迎えられること。そんなT夫妻の目に、フェリックスくんとティーガくんが留まりました。まもなく生後3カ月を迎える2匹はとても愛らしく、T夫妻理想の猫たちのように見えます。すぐ里親にエントリーしようとしましたが、NPOくすのきが一旦止めました。それはフェリックスくんの心雑音の話をしておかなければならないからです。

心雑音の話と保護された時の様子を聞いたT夫妻は、少し考え込みました。治療が大変になる猫を迎えて大丈夫なのだろうか…。しかし、フェリックスくんを守ることを使命としているティーガくんから、引き離すのが最善なのか…。

夫妻の出した答えは、「それもご縁です、全てを受け入れます」。

T家に迎えられることになったフェリックスくんとティーガくん。夫妻は2匹のために新しい3段ケージやキャットタワーを用意しました。落ち着ける環境を作ってあげたい、そんな想いからです。

家に到着したフェリックスくんとティーガくんは、そんな想いを知ってから知らずか初日から腕白っぷりを発揮します。ケージの中でじっとなんかしていられません。初めての場所が嬉しくて楽しくて、2匹で家の中を探検です。完全にリラックスしている様子を見たNPOくすのきのスタッフは、安心してT家を後にしました。2019年7月のことです。

そのまま2匹は正式にT家の猫になり、現在に至ります。昨年はT夫妻待望の赤ちゃんも誕生し、いっそう賑やかになりました。心配されたフェリックスくんの肥大型心筋症は、病院のサポートもあってか重大な症状は出ていません。毎日の投薬と血圧測定は欠かせないものの、T夫妻にとってそれは負担ではないのだそう。

だって、フェリックスくんの名前に込めた願いを改めて感じられるから。Felixとはドイツ語で「幸福」を意味する名前。T夫妻の覚悟でもあります。「どうしよう…」と気持ちが沈みそうな時には思い出すんです。自分たちがどんな想いでフェレックスくんを迎えたか。

「幸福」はT夫妻だけの願いではありません。保護主さんやNPOくすのきの願いでもあります。どうかいつまでも「幸福」が続きますように。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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