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校則で「三つ編み禁止」とまどう黒人ハーフ中学生 特有の髪質に配慮求めるも「本数制限」が条件に

社会の多様化の中での学校校則のありかたがSNS上で大きな注目を集めている。きっかけになったのはアメリカ出身の言語学者、アン・クレシーニさん(@annecrescini)の以下のような投稿。

「友人の娘さんの髪の毛。黒人のハーフです。
通ってる中学校では、三つ編みが禁じられている。
右の写真は、1番髪の毛にやさしい8本の三つ編み。
左の写真は、三つ編みにしてない爆発している状態。
交渉した結果、2本までする許可が出たけど、それでも髪は痛む。
8本ができるようになるまで、私は発信する」

黒人特有の髪質を理解せず、なにがなんでも校則で管理しようという学校側。パラリンピック等のイベントを通じさんざん多様性の尊さを謳いながらも、実際は前近代的な「日本人はこうあるべき」という妄想にとらわれた日本社会の実態をよくあらわすエピソードだ。

アンさんの投稿に対しSNSユーザー達からは

「三つ編みって風紀が乱れるの?」

「むしろ、私は強制三つ編みだった、、、。。三つ編みって真面目イメージなのに禁止とは😨」

「北九州在住です。我が娘小5も黒人ハーフで髪には悩まされています。一昨年くらいに6時間かけて縮毛矯正しストレートになりました。色々な目があるのでこれからも悩みは尽きないかもです。」

「髪型とは違いますが、同級生に爪を綺麗にお手入れしている子がいて、それが生徒指導の先生の目に留まり、呼び出されることがありました。私はその場に居たので、咄嗟にお手入れしてはいけないのかと抗議したところ、共に呼び出しをくらいました。結果、『この学校の生徒全員が爪を綺麗にしていたらどう思う?!』という謎理論をぶつけられました。私は正直に『良いと思います』と答えたところ、『ダメだろう!』と怒られ、それで話は終わりました。校則って、先生の偏見と謎理論で出来ているのでしょうか?」

「カーリーヘアやアフロヘアは最も柔らかく繊細な髪質であると聞きました。迅速に対応をいただいて、心身共に健全な学生生活をと願います。編み込みヘア等との線引きや、他生徒への配慮を危惧していたり、三つ編み禁止にも理由があるのでしょうが、多様性の時代に皆で順応していけるといいですね。」

「学校の先生はローカル地域に留まってひたすら人を送り出していく仕事。そういう環境にいると外の世界、児童や生徒たちが進む多様な世界を想像することもできず、結果時代錯誤でおかしな校則に従わせることだけに躍起なってしまわれるのでしょうか。想像力を養う教育は先生にこそ必要。」

…など数々の共感のコメントが寄せられている。

   ◇   ◇

アンさんにお話を聞いた。

中将タカノリ(以下):友人のお嬢さんですが、三つ編みについて学校とどのようなやり取りがあったのでしょうか?

アン:入学してすぐ注意されました。生徒手帳には「三つ編み禁止」といった記載は無いのですが、「三つ編みを含めヘアアレンジはしてはいけない」と言われたそうです。お母さんはまさか三つ編みがダメなんて予想もしておらず、驚いたと言っていました。

三つ編みしないと髪が乾燥して広がるし、傷みやすくなってしまうと黒人特有の事情を伝えたところ「三つ編みは原則禁止ですが2本までなら大丈夫」となり、その後「4本まで大丈夫」となったそうですが、なんの基準で2本とか4本と言っているのか意味がわかりませんよね。

中将:学校はなにがなんでも生徒を管理したいんですね。

アン: 差別とまでは言いませんが、人種というものへの知識や配慮がないのだと思います。今回の場合、別にお洒落や自己主張がしたわけではなく、この子にとって三つ編みが一番合った髪型なんです。

中将:一人一人の生徒の事情を考えない管理主義も非常に大きな問題ですが、僕自身を含め、黒人の頭髪事情について正しい知識のある日本人は少ないのではとも感じました。

アン: この子は髪を洗った後、乾かさずに8本くらいに三つ編みするのがベストらしいです。また、乾くまで丸1日は待たないといけません。髪の量が多いので、2本くらいの三つ編みではなかなかうまく乾かず、頭皮にかゆみが出たり髪が傷んでしまい、健康な髪を保つのが困難だと言っていました。

中将:アンさんはアメリカのご出身ですが、日本の校則についてどのような印象を持たれていますか?

アン: 私の住む福岡では比較的、校則の厳しい学校が多いんです。 私自身も3人の子供の母なのですが、学校から子供の「地毛証明」を求められたことがあります。また、ある中学校では眉が濃くて一本眉の男子が、手入れをして登校したところ先生にとがめられて見せしめのようにマジックで眉を書き足されたと聞きました。こうなるともういじめですよね。

多様性を認めるというのはけっして人種やジェンダーについてだけではなく、一人一人の人間の個性を認めるということです。今の日本では子供たちはそれを理解できているのに、大人たちが全然理解できていない。何も校則を全部なくせばいいとは思いません。しかし靴下の長さや下着の色を決めたり、今回のように人種の特性を無視したルールを押し付けることに何の意味があるのでしょうか。

私はRKBラジオの番組「カリメン」内に学生の悩みに寄りそうというテーマのコーナーを持っているのですが、先日弁護士の方に来てもらって校則の問題について話し合いました。 日本の学校には法律的に問題のある校則がたくさん放置されています。でも子供はどうしても弱い立場ですし、教師も組織の一員なので「おかしいな」と思っても何もできない。こういった問題について今声を上げるべきは保護者をはじめとした地域の大人たちだとおっしゃっていました。

中将:今回のアンさんの投稿に対し、数々の共感の声が寄せられました。反響に対してのご感想をお聞かせください。

アン: 「地域の大人」として私なりの正義感で声を上げたのですが、ここまで大きな反響があるとは思っていませんでした。今後も積極的にこういった問題の解消に取り組んでいきたいと思っています。

   ◇   ◇

僕も中学校、高校と異様に校則の厳しい学校に通った経験があるので、アンさんの言う事には非常に共感できた。当時、痛感したのはほとんどの校則が生徒のためを思って作られたものではなく、教師自身もそれを守らせることに何の意味も無いと感じているということだ。あれから20年。進歩のない日本の教育現場のあり方に、いいかげん社会全体が否と言うべき時が来ているのではないだろうか。

   ◇   ◇

【アン・クレシーニ(Anne Larson Crescini)さんプロフィール】

アメリカ・バージニア州出身の言語学者。北九州市立大学基盤教育センターひびきの分室准教授。3人の娘の母で、作家、ブロガー、コメンテーター、YouTuber、「むなかた」応援大使など数々の肩書を持つ。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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